50mm というヤクルト、あるいは缶コーヒー。
あんたバカァ?
とか言われそうだが、my new gear としてアポランター 50mm を手に入れた。
またもや50mm である。
おまけにちょい前にズミルックス75mmを手にしたばかりである。
その前には90mmアポスコパーだ。
もうお財布はカツカツである。
それでも手に入れることになった経緯は別の記事に書くとして、今日は、せっかく 50mm レンズが4本も揃ったのだ、記念写真を撮ったついでに、それぞれのレンズの特性を見てみたいと思う。
三脚に据えて、様々な条件を合わせて撮らなくてはならないものだが、そんなことはしておりません。だいたいこんなもの、として見てもらえれば幸いです。
くだんのヤクルト、あるいは缶コーヒーは以下の通り。左から中一光学のスピードマスター 50mm f0.95、アポランター 50mm f2、ヘリアークラシック50mm f1.5、ズミタール 50mm f2、そしてジョージア100円缶コーヒーである。缶コーヒーより小さなレンズたち。大きさが気になる方は、一度カメラボディに缶コーヒーをつけてみて、これより小さいのかと思ってもらえれば……。
唯一それより大きいのが 50mm f0.95なわけだが、それでも長さ(高さ)はそこまで変わらない。太さが目につくがそれもまた、sigmaのArtレンズよりは小さいと言えそうだ。
ただし、重さは全く別だ。
ちなみに撮影したレンズはズミルックス75mmだ。ボケが語彙力を奪う。
朝のいつものポタリングフォトのお供に、何を持って行くか、当然、手に入れたばかりのアポランターは持って行くとして……でも、ちょっと仕事の疲れが残っていて、がしがし自転車を漕ぐにも、写真を撮るにしても気が重い。
そうだ、50mmも4本ともなると、ちょっと撮り比べてみようか、と思いつき、カメラバッグに上記4本と、物撮りに75mmを持っていき、近くの百貨店の体をした店舗の広場まで行ったのだった。(家でやればええやん、というツッコミはなしで)
そういうことなので、三脚もないし、もろもろ条件もそろっていない。露出もかなりバラバラで、これがうまく行かない。そんな雑なものではあるが、描写の特徴やフレアの出方、ゴーストの感じ、パープルフリンジなど見てもらえれば幸いだ。
レンズはすべて解放の描写です。
中一光学 SPEEDMASTAR 50mm f0.95
ノクチルクスに憧れて手に入れたレンズ。思ったほど描写はひどくないし、ピントが来たときはいい立体感を生み出してくれるが、解像感がいまいち? ピント合わせたあとに絞りを絞ると、ピント面ずれる? とちょっと気楽には使えないなあ、と思うレンズだ。だが何より使いづらいのは、重さ。自分が買った最初の50mmなので、最初はよく使用していたが、腱鞘炎的症状になってしまった。
でも、それでもやっぱり使ってしまう。
アポランターと比べてもらうといいが、背景のとろけ具合はもう、ね、主題がしっかり浮かび上がる。そこを逆光だと、まとわりつく光で曖昧にする。白昼夢のような世界がそこにある。
アポランター50mm f2 VM
あんなに収差のあるレンズが好きだと言ってきたくせに、アポランターとは…。これを手に入れてしまった経緯は別に書くと思う。
が、とりあえず、今思っていることは、いろんな収差は確かにない。周辺光量のみ。また、これも言われていることだが、カリカリとした
、他社の現行レンズほど解像しているというわけでもない。
感覚と記憶で言えば、シグマのART35mmの方がもっとシャープだったようにも感じる。あ、これ、柔らかいポートレートは撮れないな、と思うくらい。
一方、このレンズは、ポートレートも行ける気がする。その上で収差がないのだから、僕のようなズボラカメラマンには実はちょうどいいのかもしれない。
もう一つ言うと、ライカMの液晶でピントを見る、拡大する。最後までスクロールして拡大すると、解像度の荒さが少し目につきだす。これは液晶のせいかもしれないし、ボディの画素数のためかも知れない。が、とにかく最後まで拡大するとそんな感じ。が、そこから一つ戻すと、もう解像度はシャキッとしているように見える。
これがヘリアーだと同じずっと滲んだ感じ。F4に絞っても、アポランターのスッキリ感には及ばない。好みの問題で気分で使い分けしてしまうだろうとは思うけど、対極にあるレンズとはよく言ったな、と思わせる。
ヘリアークラシック50mmf1.5
スピードマスターが重い、ズミターは沈胴式で、ゴミの侵入が気になるし、うっかり沈胴して壊したらどうしよう、という思いがあったゆえに購入した。このあたりの経緯は別記事を参照いただくと嬉しい。
光のコントロールができなかっただけ、(というか恐らくあんまり意識が覚醒していないのだと思う。睡眠時間4時間程度の朝6時ごろだから)なんだけれど、真逆光の滲んだ部分がとても美しく感じる。
ブラシーボもあるのだとは思うけれど、スピードマスターは「滲んだ」で、ヘリアーは「滲ませた」だ(コシナさんの説明もそんな感じですしね)。それから1枚目の背景のボケのざわざわ感。これ、かなり好みの描写だ。
嬉しいのはフォクトレンダーさんのばっちり写るアポランターと、その対極にあるこのヘリアーを手にしたという事実。まさに筆を替えるかの如くだ。
こらこら、誰ですか?弘法筆を選ばずとか呟いたのは。そうです。僕は弘法にはなれないって証左ですね。
ズミタール 50mm f2
我が家の来歴不明のレンズ。なぜMマウントなのかも分からない(アダプターがついているというわけでもなさそう)。カビだらけだったのを修理しているものだから、本来の描写ではないとは思うが、背景ボケの感じなんかは、他のネットでみる描写と合っていると思う。常に述べている気がするが、これをxpro2につけてモノクロで撮影したものがすごく好きだ。
こうやって撮り比べたとき、解像度としては基本そこまで僕は気にならない差だった、ということだ。スピードマスターはそれでもちょっと解像度が落ちる気がするし、アポランターはパッと見てもくっきり写っているのが分かる(と思う。自分の目が信じられない)。
驚くべきは、今や中古相場でもおそらく一番安い、そしていちばん古いズミタールの解像度だ。そりゃそこまでしっかりはしてないけれど、開放の描写である。それで他のレンズにも負けていないのが面白い。逆光のときのゴーストやらフレアは盛大だけれど、ぐるぐるボケも含めてやはり使って楽しいレンズだな、と思った。沈胴式なのが悔やまれるなあ。
そして再びアポランター、やはり凄く写る。収差がないことからスッキリ感もある。そのためかF2でも立体感を感じる一枚が撮れる。
今後、50mm はなにを持って行こうか、ちょっとあれこれ悩むのが楽しくなりそうだ。