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NOKTON Vintage Line28mm F1.5 Aspherical の威力。
この前、九州の城下町、日南市飫肥をブロンプトンで散策した。持って行ったのは50mm と90mm これは桜が咲いているかも知れないと思っての構成だったのだが、山桜は盛りを過ぎており、こういう町を散走するなら、広角が欲しかったな、今35mmしかないけれど、28mmあたりがあったら50mm との組み合わせが良かろうな、と、むくむく欲求が湧き上がってきていた。
とはいえ換算28mmは富士フィルムのxf18mmf1.4に任せているし、ブライトフレームがマグニファイアをつけたボディでは見えなくなる。だから広角はこのままフジフィルムのカメラで任せておくつもりだった。
ただ、ひょんなことからライカ2台持ちとなったこともあり、スナップをするなら、28 50 90の組み合わせがしっくりくるような気がしてきたというのもあって、それならこのライカ二台を持ってしまった贅沢な状況を楽しんでしまえ、と考えるようになっていった。
M10Rを手にしたころから、28mmのレンズの候補はいくつかあった。
そりゃいちばんはズミルックスだろうし、ズミクロンもいいだろう。純正を使うという楽しみはいいが、なかなかにお高い。
フォクトレンダーは、ウルトロンか、カラースコパー。絞りで言えばウルトロンだが、なんとなくデザインが好みではない。カラスコはF2.8でいいのであれば小型でかわいらしいので心惹かれる。とはいえ、絞りがf2.8というのはちょっとあとでうーん、ボカしたい、となるような気がする(開放バカなので)。
そうだ、2.8でいいんならエルマリートだ。エルマリート。純正とはいえ、お値段もそこそこ。いや、だが待て、世代がありすぎて、どれがどれだかよくわからん。初代はなに?ケタが違う。2ndはほうほう6thと比べると周辺が滲むなあ…(だがそれがいい、とか言い始めるのが悪いところ)。
そんなこんなしているうちに、ま、フジのレンズがいいよな。大きいけれど、写りは最高だし、ファインダーで見えるしと決め込んでいた時に出てきたのが、NOKTON Vintage Line28mm F1.5 Aspherical である。
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このノクトン 28mm、フォクトレンダーお得意のバージョン違いもあって、普段ならデザインがシンプルなマットブラックを選ぶのだけれど、貴婦人と呼ばれるズミルックス 50mm 1stに似た外観にやられて、そちらを買うことにした。
色は、なんの考えもなく貴婦人と同じシルバーにしようと思った。だが、この動画を見て、ほうほう、なるほど、このこだわりがフォクトレンダーだなあと感じ、一時ブラックペイントにしようかなと考え始めた。
どうやら貴婦人にもごく少数、ブラックペイントモデルがあるらしい。そういう繋がりもあって、黒の方がいいかも、色がはげてきて真鍮が見えてくるなんて、かっこいいじゃん、いやでも、現代の技術で施された塗装、そう簡単に剥げてくることはないのでは? 何よりシルバーのレンズはズミタールしか持っていないし、M10Rのマットとペイントのちぐはぐよりはもっと大きくズレていた方がいいんではないか、そう思ってシルバーを購入することにした。
そういうわけだから、写りがどうの、というよりは、必要な画角であることと、見た目の素敵さで選んだレンズということになる。あとは明るさね。
ところが、このレンズ、なかなかの描写をするじゃないか。
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先日書いたように、知人の結婚式に参加した。
カメラはバカの一つ覚えのように、ライカ。動きの多い結婚式にライカである。
良かったのは、この式場なのか、新郎新婦の拘りなのか、スポットライトを焚かなかったこと。お陰で露出であわわ、となることはあまりなかった……いや、高砂の位置の背景、ガラス張りじゃんよ。
このレンズ、なかなかに写りがよい。ぱっと街中や散歩で使ったときはあまり感じなかったが、こういうシチュエーションで使うと、typ240の描写も相まってか、なかなかいい色と線を吐きだす。
繊細かつがっしりとした線が出るし、背景との分離がしっかりある。絞ると、そこにモノが確かにある、というような立体感がある、ように思う。
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実は最後の最後まで迷ったのが、タイポッシュという海外メーカーの28mmだった。こちら、なかなか評判がいい。レンズとしてのギミックも面白い。安かろう悪かろうの時代は終わったな、と改めて実感させてくれるレンズで、フードも同梱だし、それで価格があまり変わらないなら、と悩んだ。
結局決め手は真鍮製のずっしりとした重みを感じたい、ということだったが、こんな写りを見ると、いやこれ手にしてよかったと思う。
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これまで28mmは、x100シリーズのワイコンで嗜んでいた程度。今回、ちゃんとしたレンズを手にしたことで、思惑通りスナップにはとても良い組み合わせになったと思う。
x100では、テレコンも持っていたので、28 50との組み合わせで撮ることも時々あったものの、こんなに使いやすいとは感じていなかった。特に奈良大阪に出かけたとき、狭い商店街を歩いたときは実に良かった。
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ただ、この28mm、散歩での使用となるとちょっと使いどころが分からなくなる。田舎の風景は漫然としているから、広角だとぼんやりした写真になるし、逆にもっと広角で撮って見たほうが絵になるようにも思う。いや、超広角こそ街で使った方が絵になるのかもしれないが、スナップ用途においては、街こそ28mmの出番な気はしている。
フォクトレンダーのレンズをいくつか使ってきたが、どれも非常に質感がよい。特に絞りを操作するときのあの控えめにかたかたと動く手触りはなんとも心地いい。その中でもこのレンズは真鍮製のためか頭ひとつ分抜きん出た心地よさがある。この辺はライカ純正の少し遊びのあるような絞りの動き(個体差もあるとは思うけれど、どれもそんな感じだ)より、上質さを纏っているように思うし、その上でお値段も比較したら安価なわけで、一応レンズの構成は上がりとは思いつつも、ついコシナさんのホームページを見てしまったりする。今気になるのは、先にあげた通り、真鍮でできたブラックペイント。いくつかラインナップがある。この塗りの厚さにやられている。
レンズをそんな塗装ひとつで欲しいと思わせるなんざ、いやあ、なんて悪い子なんだ。僕ではなくて、そう、コシナさんのことだよ。