欧州における右派ポピュリスト台頭
2023年は、欧州各国において右派が躍進した年。今年に控える欧州選挙を前に、各国選挙結果を振り返った上、現地で感じた事をノートにまとめた。
1.欧州各国の総選挙結果
欧州各国で行われた選挙では、現在の政権に対する欧州国民の不満が目に見えて表れた結果に。西欧では右派が躍進。中東欧では親欧州派と親露派の政権がそれぞれ誕生。
オランダ
反移民・反欧州連合(EU)を掲げる極右の自由党(PVV)が議席数を倍以上に伸ばして第1党。
スペイン
最大野党の中道右派・国民党(PP)が第1党に躍進。サンチェス首相率いる中道左派/社会労働党(PSOE)は第2党に転落。しかしPPが組閣に失敗したため、左派サンチェス氏が続投。
フィンランド
総選挙で、左派から右派に政権から一転。歳出削減による財政赤字の縮小などを打ち出した中道右派・国民連合が勝利し、右派ポピュリスト政党・フィン人党などと組み政権を樹立。
スイス
移民問題に対する懸念などを背景に右派勢力が躍進、第1党の右派・国民党(SVP)が議席を拡大。環境政党は支持を落とし、議会の構成は右派が優勢。
2.現地で感じる事
言われている以上に各国民の生活が緊迫していて、人々に心の余裕がない事を現地にいて感じる。移民問題や失業問題、脱カーボンによるエネルギー高等の従来からの問題に加え、コロナやロシア・ウクライナ戦争、イスラエル問題と続き、国内の生活水準が崩れつつあるのに他国に支援している場合か?という不満を良く聞く。
そして水を得た魚のようにポピュリスト政党が台頭してきており、オランダでは第一党となった。なお、これらポピュリスト政党は前回欧州選挙で大きく票を伸ばしているが、今年を予定する欧州選挙でさらなる躍進を目指している。
なお、上述の国々の他、ドイツでもポピュリスト政党の台頭が顕著になりつつある。
既存の大政党である中道右左派が崩れ、大きな変革と苦しい現状からの脱却を謳うポピュリスト政党に票が流れるという傾向はここ最近世界各地でみられる傾向。既存政党がこれらポピュリスト政党とタッグを組むと、ポピュリスト政党に社会的な正当性を与えてしまい、民主主義社会の崩壊要因の一つとなり得るとジブラット教授およびレビンスキー教授(ハーバード政治学)が「民主主義の死に方/how democracies die 」で言っている(私の読書ノートは下記から)。
今年の欧州選挙はこれまで以上に欧州民主主義の未来を占う試金石になりそう。
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