音楽家の旅行記 伊勢・奈良編 Part10 -奈良公園〜東大寺〜氷室神社-
奈良公園〜東大寺
さて、鹿の猛追から逃れた後は奈良公園の中心部へ、せっかくだから東大寺を目指して歩くことに。その途中途中で我々がよく知っている温和なペコペコする鹿が圧倒的多数になる。もう噛まれるのはごめんだと慎重になりながら、そして持っている鹿せんべいがもうわずかなことからあげる相手を吟味する。少しかわいそうな気持ちにもなってくるが他にも観光客いっぱいいるからそっちからももらってくれと全員にあげられない罪悪感を振り切る。
そうこう歩いているうちに東大寺門前へ到着した。
東大寺ももちろん修学旅行以来だ。今回は中に入る予定はない。がとりあえずその形だけでも拝む。学生の頃教科書を好き勝手に読むのが好きだったのだがその中で東大寺の写真を見てあのなんとも雑な屋根の頂上のしゃちほこはなんなのだろうかと思った記憶が蘇ってくる。だが実態としてはあれはしゃちほこではなく鴟尾(しび)という鳥らしい。こちらも火事から建物を守るという願いが込められているのだとか。で、この鴟尾の場合は屋根の水平線が水面ということでそれより下は水の中で写ってないということなのだそうだ。それに対ししゃちほこは自らが水を吐きそれで鎮火する、ということらしい。
東大寺〜南大門
東大寺の南大門を潜ろうと近づくとそこには鹿がうじゃうじゃたむろっている。
この辺りの鹿は奈良公園入口の鹿よりはおとなしい感じがして結構近くにいても安心感があるというか、向こうもそこまで激しい様子は見せない。何匹かに鹿せんべいを割りながらあげる。山道を歩いていると鹿せんべいやがありさらにそこには鹿が集っていた。
先ほどの出来事を思い出し多少ぞっとしてしまいつい売店のおばさんに襲われないのかと聞いてみたら襲われますよーと返ってきてさらにぞっとする。
ただ基本的に鹿せんべいを売って手渡しした後に寄ってたかってというパターンが殆どだということで、さっきのようなパターンなのだろうなと実経験に想像を重ねて行く。近くに茶店を見つけたのでそこで一息休憩することに。
東大寺〜茶店
団子が一本100円程で焼きたてが売られていたので買う。
焼きたてのお団子はもち米の味がしっかりしているところにそれに負けないくらいの風味の濃い、けどくどくない味の砂糖醤油のたれがついており、炙られた団子が固いところ柔らかいところ様々な食感を持った素朴な手作りといった感じで整ってないが故の暖かさを持っていた。鹿を見ながら団子を頬張る。
一息ついて次の目的地の氷室神社を目指すため東大寺を後にする。途中川が現れたがその川沿いにも鹿が大量に集まっていたため思わずパシャり。鹿もやはり暑いのだろうなあと思いながら、だがどこか気持ちよさそうに木陰と水辺でたむろっている。
氷室神社
さて、奈良公園から少し歩くと氷室神社が近くにある。奈良は昔氷づくりが盛んだったようで氷室があちこちにあり、この神社はかつてこの氷を管理し平城京に奉納していたのだとか。故にこの神社では氷を奉納し、その氷を直後にいただくという風習があるのだとか。
奉納しシロップをかける。はじめシロップと間違えて手洗い用の水をかけてしまい氷の傘が小さくなってしまった。味と言えば典型的な昔ながらのかき氷である。少し荒目のしゃりしゃりジャリジャリした氷に色と香りだけが違う下の色が変わるシロップをかけ頭をキンキンに痛くして食べるようなあのかき氷である。最近は一杯1000円を軽く超えるかき氷も珍しくなく実際日光の天然氷の高級かき氷(本物のメロンのメロンシロップ)を食したことがあるがあれは格別に美味しかったものの所謂この駄の昔からあるかき氷とは全く別物である。この手のかき氷を食べるのは本当に数年ぶりだったため懐かしさとこの暑さを癒してくれたのだった。
次回に続く。