Eternity Capital

マーケットと資産運用について考えてみます。

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最近の記事

宗旨変え

米国のブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)が上昇しています。5年で2.6%、10年で2.4%です。FEDの長期的なインフレ目標は2%なので、今後5年間、10年間の平均インフレ率よりも高いインフレ率を市場は見込んでいることになります。 ブレーク・イーブン・インフレ率とは、満期まで同じ期間の名目債とインフレ連動債に投資するなら、どちらがお得か、その分かれ目となるインフレ率は何%か、と言うものです。10年債(5/4現在)で考えると、名目10年債の利回りは1.61%に対して、1

    • TRS(トータル・リターン・スワップ)で思うこと

      2021年4月15日付け日本経済新聞の真相深層欄は「アルケゴスで巨額損失」というタイトルの解説記事が載っています。アルケゴスが組成したポジションとそれを受けた業者のポジションがどのようになっているのか、詳細には知らないので迂闊なことは言えませんが、投資家の過大なポジション、業者のリスク管理の不行き届き、みたいな結論にしたくないなあと思う次第です。それは確かにそうなのですけど。 TRSとは・・・TRSはスワップ取引の一つですが、プレーンなスワップ契約が比較的単純な投資対象のリ

      • 需給ギャップ

        日銀から四半期毎に公表される需給ギャップと潜在成長率の統計が発表されています。「なお、推計値は、推計手法によってかなり異なる値をとりうるほか、様々な推計誤差が含まれるため、十分な幅を持って評価する必要があります」と日銀自身が述べているように、いろんな見方や解釈ができ取り扱い注意のため、以下は個人的な印象です。 (1)潜在成長率がゼロ・・・これは残念です。高齢化社会への対応・長時間労働の改善を目的として、労働力(就業者数×労働時間)を資本ストックと生産性の代替させる試みはグラ

        • バイデン大統領、第二弾景気対策

          3月に成立した総額1.9兆ドルの超大型経済対策APR(American Rescue Plan,米国救済計画)から一ヶ月も経たぬ間に、バイデン大統領は今度は2兆ドルの経済対策を打上げました。民主党は独立記念日にあたる7月4日の成立を目指しているようです。 対策の中身は通信網整備などのインフラ関連投資から、EV事業支援などの新しい技術推進を目指したものや脱炭素社会実現に向けた政策など、サプライサイドを対象としています。 対策の規模(8年で2兆ドルはGDPの約10%、年間では

          暗号通貨、デジタル通貨の価値

          暗号通貨の使い道がよくわかりません。最近はNFTというデジタル資産が注目を浴びるようになっていますが、デジタル資産を買うための決済通貨でしょうか?ドルや円などの伝統的な通貨ではデジタル資産を購入することはできないのでしょうか?一方、テスラのイーロンマスクは暗号通貨でもテスラを購入可能とも言っています。 通貨の役割経済学の一般的な教科書には通貨には次の三つの機能が備わっていると書かれています。 (1)価値の表示 (2)価値の蓄積 (3)決済 暗号通貨にもこの三つの役割

          暗号通貨、デジタル通貨の価値

          資金運用を考える3〜資金量

          これまでの議論は、資産運用をバランスシートでとらえ、バランスシートの左側の運用サイドと、右側の調達サイドの利回りをそれぞれ考えた方がよい、という内容でした。今回は資金量について触れてみたいと思います。 資金量とはバランスシートの拡大 利回りは単位資金量当たりの期待リターンです。高リターンが期待される資産や銘柄にお金をどれだけ突っ込むか、配分可能なお金の量が多ければ多いほど、成功した時の実額の利益は大きくなります。資金量はバランスシートの大きさで、失敗しなければ大きな金額で投

          資金運用を考える3〜資金量

          資産運用を考える〜利回り

          前編ではバランスシートを思い浮かべると体系立てて資産運用を考える事ができると提案しました。 「利回り」「資金量」「時間」という3軸 バランスシートを思い浮かべた次は、この3つの軸で考えると便利です。唐突感がありますが、投資の質、量、そして期間です。 利回りは投資の質です。注意して欲しいのは、バランスシートの左側、投資対象だけではなく、右側、調達サイドも考えてもらいたいのです。なぜなら、投資対象の利回りから調達資金のコストを引いたもの、これが利回りだからです。 他人資本を運

          資産運用を考える〜利回り

          資産運用を考える

          資産運用というと、どの株を買ったら良いでしょうか?、とか、低金利の日本では魅力的な投資対象はないから外国の債券ね、というように、投資対象の良し悪しを連想する方が圧倒的に多いと思うのです。それ自体は間違いではないのですが、私が考える資産運用では不十分に思えます。 バランスシート どこが不十分なのか?どんな視点を加えたらよいのか?となりますが、結論から言えば、調達サイドも同時に考えましょう、という事です。えっ、そんな事当たり前でしょ、と言う方は読み飛ばして下さい。私が先ず資産運

          資産運用を考える

          FOMC 2021/3/18

          発表された経済見通しとインフレ見通しから受けた私の率直な印象は、アメリカ経済の回復にFOMCメンバーが自信を持っている事でした。 理由は 1.来年には完全雇用に達すること 2.インフレが目標値の2%をキープすること ためです。 直ぐに利上げはないにしても、将来の金融引き締めが後手に回る可能性を警戒するのだろうなぁ、とおもいます。 長期金利のメドは? 後手に回るリスクは容易には債券市場から払拭されないでしょう。増発による荷持たれ感もあります。重苦しい雰囲気が続きやすいでし

          リスクマネー

          日銀から昨年末時点の資金循環統計が発表されました。色んな争点があると思いますが、気になるのは家計部門に滞留し続けるマネー。 家計金融資産 1948兆円 うち現預金   1056兆円 うち現金     101兆円 年間50兆円のペースで家計は預金を溜め込んでいます。 貯蓄から投資へ、fiduciary duty の整備、など様々なキャンペーンや施策が国家レベルで講じられて来ましたが、この統計を見る限り、思った通りの結果ではないでしょう。 預金金利がゼロでも、家計が現預金

          リスクマネー