バイデン大統領、第二弾景気対策
3月に成立した総額1.9兆ドルの超大型経済対策APR(American Rescue Plan,米国救済計画)から一ヶ月も経たぬ間に、バイデン大統領は今度は2兆ドルの経済対策を打上げました。民主党は独立記念日にあたる7月4日の成立を目指しているようです。
対策の中身は通信網整備などのインフラ関連投資から、EV事業支援などの新しい技術推進を目指したものや脱炭素社会実現に向けた政策など、サプライサイドを対象としています。
対策の規模(8年で2兆ドルはGDPの約10%、年間では単純に1.2%)や中身もさることながら、資金調達方法も気になるところです。今回は優遇されていた法人税率を元に戻す事で捻出できるようですが、これはトータルでの話。時間をかければ「Pay as you go」原則が保たれるらしいのですが、当初は追加国債発行は免れないのではないかと思います。
トランプ前大統領の0.9兆ドルの減税、第一弾バイデン対策の1.9兆ドル、今回の2兆ドルと、昨年末から今年前半にかけて米国政策当局者はアクセルは踏み続けており、その額はほぼ5兆ドル。5兆ドルは約20兆ドルのGDPに対して25%もあるわけです。
25%の規模感
これに対してアメリカ経済のGDPギャップは3%くらいなので、これはもう、何というか、常軌の沙汰を超えているとしか思えないのですが、どうでしょうか。。。加えてFRBはビハインド・ザ・カーブで構わない、といっています。長期的に見れば、米国経済といえども高齢化の波に飲まれディスインフレ社会が到来すると見られていると思うのですが、どうなんでしょうか。
これからの論点
米国の財政政策の効果、そして金融政策の対応は、世界の金融市場の行方を大きく左右します。私が今の所注目しているのは次の二つ。
(1)FRBの宗旨替え
behind the curveな政策スタンスを改めること。コロナ第4波や変異種が流行り始めているので、Preemptive姿勢まで戻すかどうかは微妙です。ただしbehind the curveと完全に受け止められるのも如何なものなのかなぁと思いますので、タカ派人物を要所要所に配置し、微妙にタカ派なジャブを繰り出してくるのではないか、と思います。
(2)スティープ化の再来
足元では米債金利はFEDのロングラン2.5%を意識してか、30年債の金利上昇が止まり短中期ゾーンへ関心が向かいつつあるように見えます。しかし巨額で壮大な社会実験 + behind the curve容認が今後も続くようだと、長期金利が2.5%を易々と突破してゆく事態もありそうです。
それにしても資金調達圧力が大きいので、入札の度に市場が揺れることにはなりそうです。。。