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【素敵なガーデンデザイン】#3赤毛のアンの世界。野原のように花々が咲きほこるアンの花園‘‘アヴォンリー‘‘in伊豆高原

「すてきなガーデンデザイン」(主婦と生活社1995~2010年頃刊行)の編集者が巡る庭の旅。17年前に「すてきなガーデンデザイン」掲載のために取材した伊豆高原のカントリーハウスアヴォンリーを再訪しました。

取材では霧に包まれ幻想的な姿を見せてくれた庭は、今も美しい姿で、迎えてくれました。当時オーナーだった前田淳一さん、真知子さん夫妻と取材当時の話をして、アヴォンリーを堪能した二泊三日でした。時間、天気によって表情を変える庭を堪能ください。

緩やかなカーブを描くレンガ敷きの園路で花園に分け入る。あえて「花壇」を設けず草丈のある草花で立体感を出す

アヴォンリーをオープンする前、商社マンをしていた淳一さんは、仕事で海外を訪れることが多く、「イギリスの街の宿に泊まると、建物や庭の雰囲気、全体でもてなしてくれた」ことに感動。この体験が元になってアヴォンリーをつくりました。

庭は「花そのものの美しさを感じてほしい」と、花壇などは設けていません。草丈のある花を中心にして庭に立体感を出しています。いろんな植物の種を庭に蒔くと、場所に合ったものだけが発芽します。それが毎年咲くようになり、野原のような庭が形作られました。

とはいえ、適切な管理がなければ、庭は草むらになってしまいます。庭をつくるにあたって、たい肥をすき込むなどの土壌改良をしています。草を抜いたり、バランスを考えて花を間引いたり。淳一さんは、「年だから庭はもういい」と言いながらも、「庭は生き物。花はかわいい。愛おしいです。花とおしゃべりしながら庭作りしている」と語ります。

レンガの小径に誘われてバラのアーチをくぐる。手前右側のピンクの花はゼラニウム
ジューンベリーが明るみ始めていた。ほかに桑の木もあり、収穫した実でジャムを手作りする
土地の高低差やごつごつとした黒い岩盤を活かして植栽されている

春の花が終わった五月の庭のメインは、シャスターデージー。アスチルベやフウロウも咲き、一時ホワイトガーデンに

訪れたのは5月の終わり。庭中シャスターデージーが咲き乱れ、白く輝いていました。17年前と気温が変化したためか、ジギタリスなどは咲かなくなってしまったそうです。ハーブや果実のなる木も植えて、ホテルの料理に使われています。朝食には庭の柚を使ったフィナンシェが出ました。

マーガレットによく似た花が咲くシャスターデージーは、毎年咲く宿根草
左手前からシャスターデージー、フウロウ、アスチルベ
シャスターデージーは常緑で冬も庭が淋しくならない

白い花が浮かび上がるナイトガーデン。夕方・夜・朝、それぞれの表情が魅力的

伊豆半島の東岸、伊東市の中南部に位置する伊豆高原。標高の低い高原ですが、朝晩は涼しく清々しい空気。海の方から昇る朝日、山に沈む夕日、朝もや霧……雨すら幻想的です。いろんな時間の表情を見せてくれた庭の様子を紹介します。

日の入り後に発生する空が濃い青色に染まる時間「ブルーアワー」の庭


ホテルから漏れるライトの光で花が浮かび上がる


まるで英国を訪れたような雰囲気
花がライトを反射して輝く。印象派の点描画のよう。


玄関前はポーチになっているので、ドリンクを手にナイトガーデンを眺めてもいい
大室山に沈む夕焼け。空の色が刻々と変化していく
朝日は海の方向から差し込む。鳥がさえずる爽やかな高原の朝
庭の向こうには相模湾の海が見える

アヴォンリーの名前の由来は、赤毛のアンが住む美しい村の名前から。壁紙など内装もこだわって現地の雰囲気を再現

今回、カントリーハウスアヴォンリーには二泊三日宿泊しました。5月から6月にかけ、伊豆高原のオープンガーデンが開催されます。バラが見事な庭、コニファーの庭など個性豊かな庭がそろいます。ホテルにゆっくり滞在して、庭巡りをするのはとても楽しかったです。オープンガーデンの情報は、伊豆ガーデニングクラブのホームページに掲載されています。

ホテルの建物は、赤毛のアンに登場するアンの家、グリーンゲイブルズをモデルにデザイン
レンガの小道を通って露天風呂へ
壁紙にもこだわったデザインの異なる客室は、全9室
朝食のみののプラン‘‘モーニングアフタヌーンティ‘‘サラダ、サンドイッチ、デザートがつく
ディナーはダイニングでカジュアルフレンチを。器のコーディネートもすてき
庭にある小屋ではドレスをレンタルしての森のティーパーティやガーデンウエディングができる
雨が降ったらラウンジでゆっくり過ごすのもいい

アヴォンリーのレディ、黒猫のジジ

8年前にアヴォンリーにやってきた美しい黒猫のジジ。ちょっと人見知りだけど、少しずつ仲良くなって、最後にはなでさせてくれました。うちの雄猫たちとちがって、やわらかくて華奢で女の子だなあと思いました。

ラウンジのライティングビューローから見つめる
置き物のようにすますジジ
ジジ、ばいばい、またね

アヴォンリーの魅力、たっぷりとお届けしました。素敵なガーデンデザイン既刊をマガジンにまとめました。庭巡りの旅日記もありますので、以下からどうぞ。


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