【文学フリマへの道】#1絵本共同創作‘‘画家との第一回ミーティング‘‘
11月20日に開催される文学フリマ東京に、友人の画家と絵本をつくって参加しようと制作を進めています。昨夜は、そのための第一回ミーティングを行いました。その結果、絵本の方向性が決まり、制作が本格的に動き始めた感じです。友人の画家ならではの意見には、たくさんの発見があり、目の前の夜色のカーテンがさあっと開いた思いがしました。今日は、ミーティングの様子と決まったことを紹介します。
絵本にするのは、「鳴かない鈴虫と飛ばない蝶」に決定!
前回公開した【文学フリマへの道】#0絵本制作‘‘画家へのプレゼン‘‘を読んでくれていた友人。
そこで私が目指したいと書いた「絵と文が掛け算で物語を生み出す絵本」というコンセプトに共感してくれました。これは、例えば、「Aちゃんが涙をこぼしました」という場面で必ずしも涙をこぼした女の子を描かなくてもいいのではないかという意味です(もちろん、そういった表現が必要な場合もあります)。
せっかく共同創作をするのだから、お互いひとりではできない表現を目指したいのです。絵は言葉とは異なる力を持っています。言葉の説明にとどまる必要はなく、画家の解釈や表現が加わることで、ひとりではできない作品ができるはず。
まずは、テーマを決めようと話し合いましたが、最初に「鳴かない鈴虫と飛ばない蝶」を読みたいと言ってくれた友人。「鳴かない鈴虫と飛ばない蝶」は、私が書いた童話です。とても短いので、ここに全文を載せますね。
友人は、一読するなり、「今、絵が浮かびました」と一言。
「最後の静かな静かな夜だったというシーンは、いろんな色を使って夜を表現するといいのではないか」
この提案には、ぞくっとしました。思ってもいなかった提案。でも、一瞬で良い!と思ったのです。
私は物語を書くとき、絵も浮かぶことが多いのですが、実は、この物語だけ絵が浮かばなかったのです。なので、表紙は、黒字にキャッチコピーをのせただけでした。
黒一色である夜をいろんな色を使って表現するとはどういうことだろうか?
友人は、すぐに手を動かしてiPadに線を引き始めました。そして唇からイメージがあふれ出します。
「基本はモノクロ。最初は、太い線じゃなくて、蝶の心情に寄り添うような細い線で引きたい。鈴虫を草むらにそっと落とす場面はうって変わって前半を壊さない程度にふわっとしたタッチで。ラストシーンは、非常に細い線で引っ掻いたように表現するクラッチの手法を使ったらよいのではと思うんです」
墨一色だった私の物語に、イメージが与えられた瞬間でした。「鳴かない鈴虫と飛ばない蝶」を読んで、「小学生以来の感動に足が震えた」と言ってくれた友人。「物語の骨格が完成されているので、絵と調和できるか、腕の見せ所」だと意気込みを語ってくれました。
「鳴かない鈴虫と飛ばない蝶」は、表現を限界まで削っています。その分、さまざまな読み取り方のできる作品に仕上げています。友人の提案を聞いて、爆発的な絵の可能性を感じました。どんな表現がされていくのか、ゾクゾクします。
私は、この作品に関しては、今のところ、足すところ、引くところは、ありません。なので、友人が絵に専念できるよう、スケジュールや印刷所探しなどを担うことに決まりました。
今回のミーティングは、オンラインで行いましたが、ふたりの共通する感想は、やっぱり、会話での打ち合わせはアイデアが出る!というものでした。
ラインでもやりとりはしていましたが、テキストベースだと、いくら相談と言っても、どちらかの意見が先行するわけで、それが相手の意見に影響を及ぼしてしまいます。その点、会話は相手の反応を見ながら、自分の意見も都度更新しながら相談できるので、お互い十分にアイデアを出せます。アイデアは、まとまらず、うやむやで、あいまいなところから、湧き出てくると感じました。
今後は、1、2週間ごとにミーティングを行いながらお互い進捗を確認しつつ進める予定です。
絵の進捗や、絵本の判型・ページ数、自分なりに考察した絵本てそもそも何か?みたいなことも発信したいと考えています。
これから、「鳴かない鈴虫と飛ばない蝶」が、どんな風に絵本になっていくのか、見届けていただけるとうれしいです。
読んでいただき、ありがとうございました。
※過去の「文学フリマへの道」