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名作が名作じゃなくなる日

子どもの頃、映画「砂の器」を見た。
らい病(ハンセン病)が分からなくて、母に質問したけど、やはりよく分からなかった。

戦後まもない頃を舞台にした小説には、どうしようもない殺人犯が出てくる。
時代背景から、環境から、這い上がれない。
犯罪を犯さざるをえない背景が出てくる。(もちろん本人の責任もあるが)

砂の器は、らい病が出てくる。
(らい病からハンセン病に名称が変わったらしい。)

「らい」という言葉は長い歴史の中で偏見や差別を伴って使われてきた経緯があり、平成8年(1996年)「らい予防法」が廃止されたとき、「らい」に付随する悪いイメージを解消するため、「らい菌」を発見したノルウェーのハンセン医師の名前をとって「ハンセン病」と改められました。

佐賀県のHPより

感染する病気は怖い。
でもそれに振り回された人間の感情はもっと怖い。

どんなに才能があっても、親が病気だった、そのせいで放浪していたことが分かると差別されるだろう。

時代が流れると、理解できないことが生まれてくる

小学生の頃、愛読雑誌は「ぴょんぴょん」だった。
(「ちゃお」に吸収されたので今はない)

その中で、若草物語が連載されていた。
三女のベスがしょうこう熱(猩紅熱)で死にかけのシーンが出てきた。

母に「しょうこうねつってなにー?」って聞いたら、なんか色々教えてくれたのだけど、唯一覚えているのが「お母さんの同級生はしょうこう熱で亡くなった」だった。

これが肺炎とか今でもあるものだったら納得がいったと思う。
(しょうこう熱は今は抗生物質で治るらしい。)

ハンセン病も、正直わたしには理解できないものである。
イメージはできるけど、体感がない。

砂の器は名作だと思う。
でも、病気による迫害がベースにあるため、いつか理解できない作品になるかもしれない。

名作が、名作じゃなくなる日は来るのかも。
でも、松本清張作品は、何度ドラマ化されても見てしまうんだよなぁ。
犯人知っているのに、毎回ハラハラして見ている。


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