3分でわかるX線小角散乱:忘れられたディメンジョンを攻略せよ
X線小角散乱といって、あ~わかる、わかるとなる人はほとんどいないでしょう。
それぐらい一般的ではないものの、科学分野では知ってる人は知っている分析方法の1つです。今回は、そんなX線小角散乱について、超ざっくりと紹介していきたいと思います。
一般的にX線小角散乱は英語の頭文字をとってSAXSといわれます。これはX線を使った測定手法です。X線といえば、健康診断とかで行うレントゲン撮影に使われるエネルギーの高い光です。
そんな特殊な光を使って何を調べるのでしょうか?
何に使えるの?
それが今回の副題にもなっている「忘れられたディメンジョン」です。学術雑誌に使われる表現でありながら、個人的にかっこいい表現だと思っています。
この忘れられたディメンジョンというのは”とある”スケールを指しています。それが、ナノ~マイクロメートルの間のスケールです。おそらく、多くの方が「それがどうした」とか「何を忘れられていたの?」と思うでしょう。
実は、世の中で一般的に使われている分析手法の多くは、毛髪ぐらいの細さのもの(マイクロメートル)や、逆に物質の最小単位である原子レベルのものを見ることが可能です。
一方で、原子・分子よりももう少し大きいけれど、毛髪よりはずっと小さいものを正確に観察するのはなかなか骨が折れる作業になります。(特に生きたままの状態を知ることが難しい)
そのため、ウイルスや細胞の膜ぐらいの大きさのものを観察するのは難しいんですね。
そのような領域をメゾスケール(ナノ~マイクロ)と呼んでおり、俗に「忘れられたディメンジョン」と呼ばれるようになりました。
そんな、忘れられていた領域の観測を可能にするのが、今回紹介しているX線小角散乱法です。
X線小角散乱法の原理
原理をしっかりと説明しようとするとかなり大変な上、難しすぎて読むのが嫌になってしまいます。今回はざっくりと紹介するだけですので簡単にいきたいと思います
超・超簡単に言ってしまうと、小さな物質にX線という特殊な光を当ててボヤっとしたところを観測します。空気中の誇りにライトの光が当たって光るのと同じ原理です。
このボヤっとしたX線をカメラで撮影して、あれやこれやと計算処理を行うと、その光った物質の構造がわかります。この時、大事なのがボヤっとしたX線をどうやって撮影するかです。
実は、ボヤっとした光はその角度(見る向き)によって含んでいる情報が異なります。
この図で端の方から見ると、それは原子レベルの小さい情報を拾ってきてしまいます。そのため、光が入射した方向の先からちょっとずれた位置から撮影してやるのです。
すると、ウイルスのサイズぐらいの大きさの「忘れれたディメンジョン」を知ることができるようになります。なんで?という方は下のリンクから詳細な説明をご覧ください。
最後に
以前、X線小角散乱について紹介したこともあるのですが、それは結構真面目に説明したため、とっつきにくいと感じた人も多かったと思います。
ということで、今回はほぼテキストで、ざっくりと紹介してみました。
世の中にはこんな不思議なものもあるんだよということがわかってもらえればうれしいです。