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太陽電池の原理を専門用語控えめで紹介

クリーンエネルギーといえば太陽光といわれるぐらい太陽光発電はこれからの社会に欠かせない技術となりました。

最近では、一般家庭の屋根の上や空き地のような場所に大量の太陽光パネルが並んでいるのを見たことがある人も多いでしょう。

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しかし、その原理について詳しく知っているという人はほとんどいないのではないでしょうか?

今回はそんな太陽光発電について簡単に紹介したいと思います。


太陽電池とは

太陽光発電に欠かせないのが太陽電池ですね。

一言で太陽電池といってもたくさんの種類があるんですが、中でも一般的に普及してるしているのが多結晶シリコン太陽電池です。

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↑これがシリコン(日本語ではケイ素)wikipediaより引用

シリコンは地球上に豊富に存在する素材でありながら、半導体の一種として私たちの生活を様々なところで支えています。シリコン単体が埋まっているわけではないですが、私たちが普段目にする白い砂(石英)なんかは酸化したシリコンです。

このシリコンをきれいに作り上げて素子にすることでパソコンやスマホの頭脳になったり、電気を生み出す太陽電池になったりするわけです。

今回は太陽電池について紹介するわけですが、その前に少し半導体のお話をしましょう。

半導体とは

太陽電池を知るためには、半導体の知識が欠かせません。
とはいえ、半導体の説明をするとそれだけで情報量が多くなってしまうので、ここではとてもざっくりとした紹介にとどめましょう。

中学校の理科で習うはずなので記憶にある方もいるかもしれませんが、物質は電気の流れやすさで分類することができます。金属のように電気をよく通す導体とガラスやゴムのように電気を通さない絶縁体(不導体)です。

半導体は、この電気の流しやすさが導体と絶縁体の間ぐらいに位置する物質です。普段は電気が流れないけれど、ある特定の条件を満たすと電気が流れだす物質なんですね。

つまり、人間が条件を制御することで半導体の電気特性を自由に操作できるということになります。


n型・p型半導体

それでは電気が発生する原理を見てみましょう、といいたいところなんですが、もう少しだけ準備が必要なんです。

まず電気を生み出すために最も重要な下準備として、半導体の1種であるシリコンに他の元素を添加して2種類の異なる特性をもったシリコンを用意します。

テクノロジーやサイエンスに興味がある方は聞いたことがあるかもしれませんが、これをn型半導体、p型半導体と呼びます。

この2種類の半導体の違いというのは単純に言ってしまえば、純粋なシリコンに比べて電子の数がちょっと多いか、ちょっと少ないかの違いになります。

n型はネガティブの意味で電子がちょっと多いです。多いのにネガティブ?と思われるかもしれませんが、これは電荷がネガティブといっています。電子はマイナスの電荷をもっているので、電子が多いということはマイナスが多い、つまりネガティブということになります。反対にp型はポジティブの意味で電子がちょっと少ないです。

もう少し想像しやすくすると、半導体の中には電子の座る席があり、n型は座る席がなく立っている電子がいるイメージ、逆にp型は席が余っているイメージです。

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ここまでくればもう少しです。このn型シリコンとp型シリコンを原子レベルでくっつけてやりましょう。これをpn接合といいます。


太陽電池の原理

pn接合をすると、n型シリコンの中にあった立っている電子がp型シリコンの余った席に座り始めます。

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つまり、接合した非常に小さなエリアは全ての電子がきちんと席に座っている状態が出来上がります。これを空乏層といいます。

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このきちんと電子が着席しているエリア(空乏層)を挟んで片側には電子が多めのエリア(n型)、反対側には電子が少なめのエリア(p型)がありますよね。

電子の数に偏りがあると、電界が生じます。またまた難しい言葉が出てきた~となるかもしれませんが、ご安心を。単語を覚えなくても大丈夫、何が起こるかを理解すれば問題ありません。

電界が生じたエリアでは、電子が全て着席しているといいましたよね。ここで仮に電子が立ち上がると電界の影響を受けて、n型のエリアに集まっていきます。そのため、電界というのは坂道と表現されることも多く、立ち上がった電子が転がり落ちるようなイメージです。

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ここで、ようやく光の出番がやってきます。太陽光発電に欠かせない光、これはエネルギーを持った電磁波です。

光によってエネルギーが与えられると着席していた電子たちはいっせいに立ち上がり、同時に坂道を転がり落ちてn型のエリアに集まります。

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ここで、n型とp型に電球をつないでやりましょう。するとたくさん集まった電子は導線を通って電球に向かいます。これでやっと太陽の光をうけて電気が流れだすというわけです。

これが太陽電池の基本的な原理です。現在では研究が進んでもっと複雑な原理や構造が使われていますが、個人的には基本を押さえることが重要だと思います。基本をイメージできることが、その先の理解につながるはずですからね。

最後に

ちょっと新しい試みを始めようかなと思った矢先、よく考えたら太陽電池の原理について説明しているnoteの記事ってあまりないよな、と思ったので、今回こんな記事を書いてみました。

詳しく書けばどこまでも深堀できますが、どこまで削るかも発信者のさじ加減といったところでしょう。もっと詳しい説明が知りたければ、ググってみてください。

この記事を見て少しでも興味を持ってくれた方がいれば幸いです。


※実は電子が座っていた席も坂道を上る方向(p型のエリア)に向かって移動します。この電子が座る席をプラスの電荷とか”正孔”と呼びます。

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