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【シュリーレン現象】一度は見たことあるけれど名前は知らないあのモヤモヤ

真水と砂糖水を混ぜたときに透明の液体の中にモヤモヤしたものを見たことがある人は多いのではないでしょうか。

同じ透明な液体なのに混ぜるとなぜがもやもやした様子が見える、この現象をシュリーレン現象といいます。

あのモヤモヤした現象に名前がついていたのかというのも驚きですが、このシュリーレン現象は見えないものを見えるようにする科学技術として応用もされているんです。

今回はそんなシュリーレン現象について紹介したいと思います。

シュリーレン現象とは

透明な液体や気体の中で屈折率の違いによりモヤモヤが見える現象のことです。(ちなみにシュリーレンとはドイツ語で”むら”を意味するらしい。)

屈折率とは光に対する物質が持つ性質のことで、例えばガラスとプラスチックが同じ透明なのになんか違ったように見えるのもこの屈折率の違いが影響しています。

そして、液体や気体の場合に屈折率の違いはモヤモヤとなって認識することができます。

透明な水に透明なガムシロップを注ぐとモヤモヤが見えるはずです。これは水とガムシロップが同じ透明でも屈折率が違うために生じるんです。

屈折率は物質の違いだけでなく、同じ物質でも温度によって変わるため、お湯に氷を浮かべると氷から溶け出した冷たい水とお湯の間で同じようなモヤモヤを見ることができるそうです。

この現象は液体だけでなく気体でも見ることができます。わかりやすい例ではろうそくの火のちょうど上にモヤモヤができる様子もシュリーレン現象です。

他にも自然現象として陽炎(かげろう)も同じようにシュリーレン現象の一例とさています。(あまり見かけることはないですけどね)

陽炎(背景がモヤモヤっとしてる)

そんなシュリーレン現象ですが、ただの面白現象ではなくてきちんと科学界でも重要な役割を担っているんです。

シュリーレン現象を使ったイメージング技術

シュリーレン現象は私たちの目でもとらえることができるので、わかりやすいモヤモヤ現象として知ってる人は知ってる豆知識となりましたが、世の中には目ではなかなかとらえられないモヤモヤも多くあります。

私たちの身の回りはあまりないかもしれませんが、工場などの製造現場ではいろいろな用途でガスを使うことがあります。それらのガスは多種多様な種類があり、その流れを制御することが課題だったりします。

しかし、無色透明なガスの流れを正確に操るどころか見ることすらできません。そんな時にこのシュリーレン現象を利用したシュリーレン法と呼ばれるイメージング手法で観察します。

シュリーレン法とはレンズを使ってモヤモヤをより強調して観察する手法です。

屈折率が異なる物質(緑)は光の通り道を変える。正規の通り道の光(黄)を遮って、ずれた光(赤)のみをスクリーンに映すと見たい緑の物体(モヤモヤ)が強調される。

私たちの目では見えないモヤモヤでも、異なる屈折率の気体が混ざり合っていれば、シュリーレン法は使えます。見にくいモヤモヤを光学的な処理をすることで、コントラストをつけて見やすくするんです。

当然、このシュリーレン法は気体の流れだけでなく、液体の中で物質が溶け出す様子なんかも鮮明に観察することができます。

最後に

今回はおそらく誰もが一度は見たことがあるモヤモヤについて紹介しました。

私は普段家でカクテルを作ることがあるんですが、そんな時にいずれも透明なソーダとトニックウォーター、ガムシロップを混ぜるとモヤモヤをよく見ていました。

身近なところにあふれる科学はやはり面白いですね。

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