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【スパイスの科学】致死量には気を付けよう!同じ植物から採れるナツメグとメースとは

日本人にも馴染みの深いナツメグ、もしかするとその効用や価値について説明できる人は多いかもしれませんね。

しかしナツメグの元となる植物からメースと呼ばれるもう1つのスパイスを取れることを知っている人は少ないのではないでしょうか。
ということで、今回はそんなナツメグやメースについて紹介していきましょう。

ナツメグとは

おそらく多くの方は知っているかもしれませんが、ナツメグは甘みとウッディな香りを持つスパイスです。

ハンバーグによく使われているように肉の匂い消しに重宝します。私も肉料理の際には臭み消しとして使っています。安価な豚こまでもナツメグをしっかりと効かせることでお店の味に近づくのでおススメです。

さて、そんなナツメグですがその発祥はインドネシアのモルッカ諸島と言われています。そこで発見されたナツメグはヨーロッパ人の航海とともに世界に広がっていくことになります。

モルッカ諸島の場所

参考書によると16世紀までには黄金よりも価値があると言われるようになったそうです。それほどに当時希少だったナツメグは多くの人たちが欲しがったスパイスということになるでしょう。

次にナツメグを植物の視点から見ていきましょう。ナツメグはニクズクと呼ばれる植物の種子を粉末状にしてできたスパイスです。

ナツメグの科学

ナツメグのウッディな香りはミリスチシンから来ています。しかし、これは成分のごく一部に過ぎないそうです。ナツメグを構成する他の成分としてはオレンジ風味を持ちピリッとした辛みを持つサビネンやフローラルなゲラニオールとサフロールなどが挙げれます。

ナツメグのホールを持っている場合は、おろし器で削って使います。ただ、ナツメグの精油は揮発しやすいため、調理のはじめではなく終盤に入れると良いみたいです。

肉料理には大活躍のナツメグですが入れすぎには注意です。精油成分であるミリスチシンの代謝物であるMMDAやTMAという物質は中毒症状を示すと言われています。よくナツメグ致死量とかで検索すると出てきますが、一度に大量に摂取すると危険です。お薬ではないですが容量は良く守って使いたいところですね。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaamkanto/39/2/39_285/_pdf/-char/ja


メースとは

ナツメグはニクズクの種子を粉末状にしたものなんですが、このときニクズクの種子を包んでる仮種皮は取り除かれます。

wikipediaから引用 赤い部分を乾燥させてメースにする

実は取り除かれた仮種皮部分を乾燥させたものがメースという別のスパイスになるんです。私も初めて知りましたが、ナツメグとは少し違った用途として使えるみたいです。なんだか乾燥したオレンジの皮みたいなスパイスですね。

https://www.tilda.com/blog/ingredient-guide/a-guide-to-mace/参照

ナツメグはよく肉料理や焼き菓子に使われますが、メースは野菜や貝類、チーズソースなどに使えるようです。もちろん肉料理や焼き菓子にも使えます。ナツメグに比べると香りが少し落ち着いているのが特徴のようです。

メースの利用法

メースの主成分はサビネン、テレピネオール、サフロール、オイゲノールです。元が同じニクズクであるためおおよそ似ていますが、ナツメグに比べて渋さの原因となるタンニンが少ないことから口当たりが良いらしいです。

メースのブレード(塊)の精油成分は水に溶けないため、香りを引き出すためには油で抽出してやるか、じっくり時間をかけるため調理の初めの方に入れるのが良いです。一方でメースを粉末状にして使いたいときは、ナツメグ同様香りが揮発してしまうため、料理の最後に入れるのが推奨されています。

こう見ると、1つのメースというスパイスをとってもその状態(塊か粉末か)によって、調理の仕方が変わるというのは面白いですね。

最後に

今回はナツメグとメースについて紹介しました。いや~スパイスって面白いですね!はじめてメースというスパイスを知るきっかけにもなりましたし、店で見かけたら購入して使ってみたいですね。

参考文献


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