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■大河ドラマ『光る君へ』をめぐる旅⑧―紫式部公園へ行ってきました
えりたです。
今年2月、武生の地に【越前 大河ドラマ館】が開館しました。今年1年は大河ドラマにどっぷり浸かろうと決めている私は、開館の報に触れるや否や、越前への旅を計画し、敢行したのです。
そうして、訪れた【越前 大河ドラマ館】の様子はこちらの記事にまとめました。
とても楽しかった♡ またこの日、ドラマ館で道隆さまのパネルの前にいるときに、大河ドラマの感想記事を更新したのもよい思い出です。
第9話……直秀が「遠くの国」へ旅立ったお話でしたね(涙)どうにもこうにも道隆さまはうるわしくて……その道隆さまももういらっしゃらないとは、光陰矢の如しを身を以て知る今日この頃です。
閑話休題。
実はこのとき、せっかく行くのだからと1泊2日の旅程を組んでいました。ゆっくり、いろいろな場所をめぐりたいと思ったのです。そうして、この越前の地で、奈良から平安、そして、江戸時代までさまざまな時代の建造物に触れ、あれやこれやと思いをぐいんぐいんと巡らせていました。
今回は、その一つ「紫式部公園」に訪れたときのお話です。
「紫式部公園」は「霊峰・日野山を借景に池や築山を配し、平安時代の庭園を再現した全国で唯一の寝殿造庭園」です。実際に足を運んでみると、ほんとうにすてきな公園でした。
■足軽気分でレッツゴー
【越前 大河ドラマ館】は、JR武生駅から歩いて(寄り道しなければ)25分ほどで着きます。
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駅からはシャトルバスも出ているのですが、私は25分くらいなら平気で「歩き」という手段を選びます。なぜなら、織田信長さまの家臣をしていますから、足軽な心持ちをデフォルトで装備しているのです(え)
そんな気分のまま、【越前 大河ドラマ館】で紫式部公園への道のりを尋ねました。すると、「15分もかかるから大変だよ💦」と何人もの方から心配の声をいただいたのです。
ですが、そこはデフォルト足軽なわたくし。「大丈夫です、ここまでも(迷子&寄り道しながら)歩いてきましたから!」と胸を張り、スタッフのみなさんをぎょっとさせたりなどもしつつ(てへぺろ)、そのまま歩いて行くことに。
また、紫式部公園は【越前 大河ドラマ館】からはまっすぐな一本道で行けますから、重度の迷子癖を持つ私でも辿り着けるはず! がんばれ、Yahoo!マップさん! と気合を入れて歩き始めたのです。
・ ・ ・
大河ドラマ館のある越前市武生中央公園から少し離れると、閑静な住宅街に入ります。すると、そこには松並木が続いていました。
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街路樹というと、私などはすぐにイチョウを思い浮かべます。つまり、「街路樹」として植えるものに「松」という選択肢を持っていなかったのです。ですから、初めてこの風景に出会ったとき、新鮮に驚きました。
「うわぁ、めっちゃ松!」
そんなふうに、超語彙力のない感じにつぶやきながら(笑)、わくわくと足を踏み入れました。
ここは、約160本の松を植えて、昔の市街地の道を再現した「ふるさとを偲ぶ散歩道」という遊歩道だそうです。道のところどころに、『源氏物語』の巻名の陶板が埋め込まれていたり、武生の地にまつわる歌を刻んだ石碑が置かれていたり。
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丁寧に整備されていて、とても歩きやすい道でした。また、紫式部公園までの約1200mの道のりで、旅人の目を飽きさせることないこともすてきだと感じました。
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■一気に平安時代へトリップ
■東門から入るとそこには
武生中央公園からまっすぐに歩くと、紫式部公園の東門に着きます。そこからすぐ左手に見えるのが「釣殿」でした。
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「釣殿(つりどの)」は、寝殿造で池に面して作られた建造物です。庭園を観賞するための場所で、平安時代の貴族たちはここで語らったり、楽器の演奏をしたり、和歌を詠んだり。月見や雪見の宴が行われたのもこの場所です。その様子を想像するだけで、うっとりしてしまします。
紫式部公園の釣殿は靴を脱いで、実際に上れる仕様になっていました。ですから、そこはもういそいそと入ってみたのです。
すると、目の前に大きな池がざざっと広がっていました。
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少し段差もありましたので、人もいないことだし……とちょこんと座っていたのですが。なんかもう、風が心地よくて、池の凪ぐ音がしあわせで。ずっと居られる……と思える場所でした。
リーフレットによると、この釣殿は総ひのき造りだそうです。また、月がいつまでも池の水面に映るように設計されているとか。そういった細やかな配慮があるのも、平安時代の文化に倣っていて良いですよね。
このとき、ふと覗いてみると、
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池には鯉もいて。水面には木々の姿もあり、また、水の色も一様ではなく。
約1200mを歩いた直後ではありましたが、ここで月明りに照らされながら、来し方行く末を思ったり、ふいに浮かぶ感情に身を任せたり……たくさんの人たちが物思いにふけったのだろうと思うと、1000年経っても、人というのは存外変わらないものなのかもしれないと、すいっと穏やかな時間のなかに入り込んでいたのでした。
■平安時代を体感する場所
紫式部公園は寝殿造庭園です。寝殿や中島など、寝殿造の基本部分も楽しめるつくりになっています。
たとえば、こちらの「寝殿」。
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おそらく母屋部分を示していると思うのですが、けっこうだだっ広い。
今は大河ドラマ『光る君へ』を見ていますから、実際の建造物はなくても、いろいろ想像ができます。ここから池の方を眺めるのもすてきですよね。たとえば、倫子さまと道長どんのやりとりなんかも、こんな景色のなかでされているのだと思うと、感慨もひとしおです。
また、池にかかる反橋と平橋。
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どちらの橋も実際に渡ることができます。池の景色を眺めながら歩けますので、釣殿から見たのとはまた違った風情があり、気持ちのなかに流れる時間がゆったりとしたものになります。その感覚がとても心地よかったです。
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今は電子網が発達していますから、知識はぐんぐん増やすことができます。ですが、それだけではやはり「知識」でしかないんですよね。もちろん、それはそれで大切なのですが。
でも、実際に現地に赴いて、風に吹かれたり、鳥の音を聞いたり。あるいは、そこにある空気を胸いっぱいに吸いこんだり。
そうして、五感のすべてにその「知識」を自分のモノとして刻み込んでいく時間はやはり快くて。その快感は電子網で見ているだけではぜったいに得られないものだと、改めて思い至ったのでした。
■紫式部の眺める日野山
さて、以前「写真館note」でお伝えしたのですが、紫式部公園には「紫式部像」があります。(その画像は見出し画像として、みんフォトに登録済です。)
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このまわりには、彼女の歌を刻んだ石碑が置かれています。たとえば、『光る君へ』第23話で出てきた歌、
ここにかく 日野の杉むら 埋む雪 小松の松に けふやまがへる
これは越前の地で初めて迎える冬に雪を見て、都へ思いを馳せた歌です。この歌は像の真後ろに設置されています。そうして、歌にある「日野」つまり、日野山をこの像の紫式部はまっすぐに見つめているのです。
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この紫式部像、初めて見たときは「なんて高いところにいるんだろう」と思ったのですが、それはこの日野山を存分に眺めるためだったのですね。「像」ではあるけれど、日野山が今も彼女の心を癒していると思うと、見える風景もいっそう穏やかさを増すように感じるのです。
■ちょっと学びに「紫ゆかりの館」へ
紫式部公園は、どれほどいても飽きませんし、またどの季節にも訪れてみたいと思える場です。が、私は少し目を転じて、公園の西へ向かうことにしました。そこには「紫ゆかりの館」がひっそり建っているのです。
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源氏物語に描かれた
平安貴族の雅をイメージした空間のなかで
紫式部の越前との往来や
越前で過ごした日々をたどります。
このとおり、こんな様子も見ることができます。
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御簾越しって、意外と見えているものなのだなと。
でも、はっきりと見えるわけではありませんから、衣擦れの音や漂う香などを全力で摂取し、相手がどんな女性か/男性かを知ろうとしたのだろうなと……
きっと、平安時代の人たちって「五感」が現代の私たちよりもずっとずっと繊細でこまやかだったのでしょうね。たとえば、「色」にしたって、現代よりも丁寧に分けられ、名付けられていますし。そこから見える世界を体感してみたいなぁと、うらやましく感じます。
■為時パパの越前下向
このとき、催しの間では為時の越前下向の様子が展示されていました。
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官位も従五位下になり、大国の国司となった為時パパ。官職に就けなかった10年間からは想像もつかないような、怒濤の行列っぷりです。
行列を為す一人ひとりに表情があって、見ていてぜんぜん飽きません。いろいろ写真を撮ったり、あちこちの角度から眺めたり、わりと長い時間楽しんでいました。
■源氏物語占い
「紫ゆかりの館」ではこのとき『源氏物語』にちなんだ占いができました。チャートを辿ると、自分が『源氏物語』に出てくる女性の誰タイプなのかが分かるというアレです。
ちなみに、私は。
六条御息所でしたΣ(゚Д゚;≡;゚д゚)
「え、生霊になるの?」と思ったのですが、診断結果に書いてあった内容は存外当たっていて、ちょっとひやひやしたのでした(笑)
■まとめ
さて、今回は「紫式部公園」「紫ゆかりの館」をご紹介しました。どちらもとても楽しかった! 行ってよかったです。
この日、ホテルの近くのお店に飛び込みで入り、晩御飯をいただいたのですが。そのお店の方が「今は『越前市』なんて言っているけれど、ここはずっと『武生』だよ」とおっしゃっていたのが、強く印象に残っています。
越前市は、平成17年10月に武生市と今立町が合併してできました。
そのあたり、どういった経緯があったのか、私はほとんど存じ上げません。ですが、どれほど名前が変わろうとも、自分たちが育った場所への思いは変わらないし、その思いと土地の名前はひとまとまりのものなのだと、知りました。
そういった土地の方のお気持ちに直に触れることができたのも、この旅の収穫であったように思います。
・ ・ ・
越前―武生、とても楽しい旅でした。
いつかまた訪れられるといいなと思っています。
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んじゃ、また。
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