
若さと苦さの映画『ジョゼと虎と魚たち』
『ジョゼと虎と魚たち』の韓国リメイク版が2020年に公開された。
人気俳優の出演作なので、きっと数年後にはNetflixやアマゾンプライムで配信されるだろう。ただ、「日本でもこれだけ需要がありますよ、映画館でも観ますよ」ということを市場関係者に伝えたくて、映画館で観ることに決めていた。
そもそも韓国映画は全部が日本で観られるわけではないので、公開されるかどうかさえ分からなかったけど、日本上陸を心待ちにしていた。そしてついにやってきたのだ。やったね!!!
上映している映画館の数は少なく、いつもと違うところで観ることになった。予約しようと映画館のサイトを開くと平日の昼間ということもあって、予約済みの座席はとても少ない。あれ、あまり人気ない?と不安になりつつも、ゆったり観られるのはうれしい。
さて、やっと内容に触れる。日本版(原作本も読んだことがある気がするけど、ほとんど記憶がないので映画のほう)の要素を引き継ぎながらも、オリジナルのジョゼに仕上げてきたな〜という印象。
主演のナム・ジュヒョクとハン・ジミンはドラマ『まぶしくて』(これもすばらしい作品)でも共演している。全く違うキャラクターになっていて、そこはさすがだった。ただ、ジュヒョクはもっともっとクズであって欲しかった!滲み出るクリーンさよ。
素人の感想としては、少し物足りなさを感じた。若さ故の無謀さとか、「どうしても惹かれてしまう」ことへの描写があればもっと感情移入したのかな、と思う。なぜか泣く気満々でハンカチを握りしめて見ていたから、全然その出番がなく、肩透かしをくらったような気持ちになってしまったのかもしれない。
あと、「魚たち」の登場の仕方は日本版が好きだ。「魚の登場、そこかい!」と突っ込みたくなるのだ。どうしても比較してしまうけど、これはこれで別の作品としていいんじゃないだろうか。
人生には、出会うべき時に出会う人がいる。ある一時期、必要とする人がいる。数日なのか数週間なのか数年なのかはわからないが、その時にそばにいてほしいと思うことは本当だ。そんな一瞬の切なさと温かさを切り取った作品だった。