大人の真夏の大冒険〜最終章〜
◯車で約10時間かけて、青森県に行った旅行記録
外はまだ明るいが、時計を見ると夕方になっている。17時前。いろいろ見たいし、ホテルを出て祭り会場へ向かおう。
歩いていると、五所川原市役所があった。きれいで大きい。入口付近には立佞武多(たちねぷた)の像が置いてあって、祭のまちだ〜と思う。
メイン会場に近づくにつれて屋台の数も増えるし、人もどんどん増えていく。本当にこれから祭りなんだ。
場所によってはイス取りをしている人もいて、地元の人だったらどこが見やすいかわかるのになぁ、いいなぁと思う。
道路から何段も高く、特設会場!という感じの特別に組まれたエリアもあった。パイプ椅子が並べられていて、映画館の座席みたい。有料席だろうなぁ。そこでねぷたを見たら、迫力がすごそうだ。
お祭りは19時からなので、珈琲詩人で休憩をする。小腹が空いたので、ケーキを注文。
抹茶ケーキは期待以上に美味しくて、嬉しくなる。そして、飲み物!キンキンに冷える仕様のコップだ。飲んだそばから、唇が冷たい。
コップのフォルムはディズニーや漫画の中の酒場に出てきそう。ガッハッハ、と豪快に飲みたくなる。
脳内に浮かんだヒゲ面の木こりと自分を重ね合わせて、くぅ〜と飲んだ。
ケーキを食べ終え、ふぅ、と寛いでいると、窓の外を何かが横切った。
!?!?
ねぷただ!!!
祭りの前に、定位置に移動させていたのだろうか。
写真には撮れなかったが、スススーっと人の顔が横切ったときは、ジブリの『平成たぬき合戦ぽんぽこ』の百鬼夜行のシーンを思い出した。
すごい!デカい!!カフェの座席で、初めて見るねぷたの大きさに興奮する。
18時前には店を出て、明るいときも見ておこう、と道路のあちこちに止まっているねぷたを見た。夜になると、これが光るのかぁ。楽しみだ。
メインの大型立佞武多たちは、高さ約23m、重さ約19tもある。進撃の巨人が約15mあるから、それよりも大きい。
か、勝てない……。そりゃそうだ。こんなに圧倒されちゃ、人類はそう思うだろう。いや、でも、その中でも諦めないやつらがいた…。
五所川原の建物を見ながら、立体機動装置で空中移動するならと妄想した。
あれよあれよと言う間に、暗くなる。どこで見たらいいのか分からないので、人が立ち止まっている場所へわたしたちも紛れ込む。
19時になり、続々とねぷたたちがやって来る。ねぷたの名前や製作者などのアナウンス、太鼓の音、「ヤッテマーレ!!!」の掛け声。
空気を震わせるような音たちにゾクッとする。
目の前に現れたねぷたには「すごい……」という言葉しか出ないくらい圧倒された。目の前にあるのに、目の前にないような気がしている自分もいて、ただただ、目を見開いた。
色合い、細かい絵柄、全てに魅了され、光るねぷたを見続けた。
上を向きすぎて、首が少し痛くなってくるほどだった。
初日の4日は全てのねぷたが出陣していたので、全部見届けて満足してからホテルへ帰った。
帰っている途中も、道路を進んでいくねぷたを見て、忘れないぞと思った。
次の日(5日)は朝の6時44分にホテルを出発し、2日間みた街並みを名残惜しく思いながら自宅を目指した。
津軽のSAではにんにくラー油や青天の霹靂せんべい、帆立のおつまみなどなど、お土産を沢山買った。
小型のねぷたも飾ってあって、今年見る最後のねぷただと思った。
帰り道は後半、雨に降られながらも、安全に帰ることができた。
髙山稲荷神社で無事に帰れますように、とお参りしたおかげもあるだろう。ありがとうございます!
SAで休憩して、スーパーで夜ご飯を買って、18時30分ごろに自宅へ着いた。
仕事ではないのだが、一大プロジェクトをやり遂げたかのような、大きな大きな達成感のある旅だった。
立佞武多、大きかったなぁ。
またいつか青森県へ行ってみたいし、立佞武多をもう一度と目にしたいと思う。
大人の真夏の大冒険、おわり。