義父母の金婚に際し、名前詩を作ってみた。
引っ越し後でバタバタしていた4月上旬。
義姉(夫の姉)よりLINEが来た。
ーーえ~っ!?
「金婚」と言えば、結婚50周年の節目の年。ものすごくおめでたい日だ。地域で表彰されたり、新聞に名前が載ったりするやつじゃない?
そういえば、去年の夏に会った時にそんなことを聞いたような、聞いていないような…(遠い記憶)。
私達が忙しいからと遠慮したのか、アピールされなかったので、義姉が連絡してくれなければ完全にスルーするところだった。
それで、とりあえずお祝いのメールを送ったのだが、やはりお祝いの席が必要なのではないかと思った。
夫と義姉に相談すると、「今度のゴールデンウィークにご飯を食べに連れて行こう」となった。カジュアルな感じで祝おう、ということだ。
夫の地元はかなりの田舎なのだが、美味しいお店は割とある。色々検討した結果、姪っ子が以前バイトしていたという焼肉屋に決まった。知らない店より安心だ。しかもただの焼肉屋ではなく、七輪で焼き、飲み物やサイドメニューも充実しているらしい。しかも、個室だという。
店と日時は決まった。
次は記念品だ。義姉からは任せると言われた。
ネットで検索をかけると、「ペア和食器」、「メッセージギフト」、「名前詩」、「フラワーギフト」、「ペアグラス」等が例として挙がってくる。
ーーなるほど。
名入れのギフトも良さそうだが、あまり時間がない。食器はたくさんあるしなあ。何がいいか分からず、とりあえず百貨店に見に行った。
色々と見て回っていたら、あるカジュアルブランドショップで、割と華やかで、食洗機にも対応している、ペア箸を見付けた。
ーーこれしかない!
即決。熨斗を付けて包装してもらった。
それに、フラワーギフトを追加することにした。当日、地元の花屋に買いに行けばいい。
焼肉と、ペア箸、フラワーギフト。多分、これで十分だったはずだ。
…それなのに、私は、ネット検索していた時に、妙に気になったものが頭を離れなかった。
それは、「名前詩」というもの。
お祝いされる方の名前を入れた詩を、専門の業者に作成してもらうのだ。詩と言っても、手紙に近い。味のある筆書きと、似顔絵。よくよく読めば、詩の中にふたりの名前。
ーーいいアイデアだなあ。
まさに世界に一つの贈り物。でも、結構コストがかかるし、仕上がりまでには時間も要する。だから、注文するのは諦めた。
でも、その注文例の詩をいくつか読んでいた時、あろうことか、こう思ってしまった。
頼まれてもいないのに、楽しそうだと余計なことまでやってしまう、私の悪い癖。頭の中に文が浮かんできて、作りたい衝動を止められなかった…。
プリントの裏に2人の名前を横書きに並べて書く。それに、縦書きに文章を付けていくのだ。
よくバラエティで見かける、「あいうえお作文」に近い。驚くほど、スピーディーに進む筆。
何回か推敲したが、多分10分くらいで出来上がった。その文字を使うために、やや無理矢理な文脈になったのは否めないが、なんとか形にはなった(と思う)。
それが、こちら。
出来上がった詩を何回か読み、完全に自己満足に浸る。なんとも言えない達成感があった。
娘(中1)に読んでもらう。
ーーね、これ、どう?
「ん?あ、いいんじゃない?」
食い気味の私のテンションとは真逆の、うすーい反応が返ってくる。しかも、多分ちゃんと読んでいない。きっと、私がフォトブックやメッセージカードを度々自作しているので、娘からしたら、「あ、また何かやってる」、くらいの感覚なんだろう。でも、いいんだ。負けない。
ここからは仕上げだ。年賀状を作るアプリを起動。2人の写真(去年、富良野のラベンダー畑で撮影したいい写真があった)と、さっき作った名前詩を配置する。名前の文字だけは色を変えて、アピール。
上部には「金婚おめでとう」のタイトル。「~○○さん・□□さん、共に歩んだ50年~」というサブタイトル(完全に商品例からパクりました、すみません)まで付けた。フォントを筆書きに近いものにしたら、なんだかそれらしくなった。背景は優しい雰囲気のものにして、花束のスタンプで縁取りを。
インクジェットの紙でA4サイズに印刷し、金縁の額(ダイソー)に入れて包装。何と、かかった経費250円ほど。これまた自己満足に浸るポイント。
こうして、自作の名前詩ギフトが仕上がった。
そして迎えた、お祝いの日。両親と義姉一家、わが家で集まり、美味しいお肉(上質だった!)を食べ、談笑し、花束や記念品を渡した。記念撮影もした。
両親はとても嬉しそうだった。
例の名前詩ギフトも、すごく喜んでもらえた。
特に、義父は大きめのリアクションをしてくれる。
↑この義父です。
「これは!名前になっとるがねー。なんね、○○さん(私)が考えてくれたんね。ありがとうね~。」
淡々としたリアクション一族の中で、義父と私のテンションだけがガチッと合う瞬間だ(たまにある)。
こんな些細なものでも、そうやって喜んでもらえると分かっているから、私は用意してしまうんだろう。
帰宅すると、早速床の間に飾ってくれていた。
翌日、義母からも「嬉しかった」と、お礼のメールが来た。
真心が伝わるってやっぱり嬉しい。
よかった、よかった。
考えてみれば、「50年間」夫婦を続けるというのは、並大抵のことではない(私にはまだ想像もつかない)。今でもお互いに支え合っていることが見ていて伝ってくる義父と義母。2人とも持病はあるものの、なるべく元気で楽しく、時を重ねていってほしい。
かけがえのない家族の時間と、形として残る写真や記念品。これから先、何があるかは分からないので、やっぱりお祝いごとは、どんな形であれ大切にしていこうと思った。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました♩
皆さんも、お祝いに「名前詩」、いかがでしょう?きっと文章好きの皆さんなら、いい詩が誕生しますよ。
最後に余談ですが、先程の記事の続編。
なんとこの後も、義父の頭頂部の毛は少しずつ太くなり、先日会った時にはついに横側の毛と同じくらいのポテンシャルになっていました!