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幻の秘密基地。


息子(小3)が、テレビでグループ系YouTuberのとあるコンテンツを見ていた。

段ボールで6階建ての秘密基地を作る、というもの。

パイプで骨組みを作り、階段は脚立、床にも金属の板を使い、秘密基地にしては本格的だ。そして、壁や内装を段ボールで覆い、窓を開け、電気まで通して完成。

中でご飯を食べたり、ゲームをしたり、寝袋で寝てみたり。

その一部始終を、私は「へー」という感じで眺めていたのだけれど、ふと息子を見ると…。


キラッキラの目で見つめている!

(。ω。)

うわっ!眩しい。


だいたい、動画はニヤニヤしたり、ケラケラ笑って見ていることが多いのだけれど、この時は違っていた。


そうか。子どもからしたら、こんな大掛かりな秘密基地、憧れだよなあ~。

そういう、子ども目線ではちょっと背伸びした遊び、みたいなのにひたすら挑んでいるグループなのだ。

大人になるといつの間にか忘れているような些細な楽しみや、ともすればバカらしいと思えることもあるけれど、子ども心を忘れずに活動されているということか。

そういうワクワクする気持ちっていいよなあと思いながら見ていたら、すっかり忘れていた昔の記憶が急に蘇ってきた。


ーーそうだ。私、秘密基地、作りかけたことあったっけ。



あれは、確か小3くらいのある秋の日(今の息子と一緒!)。自転車を買ってもらい、ぐんと活動範囲が広がった私。友人宅や習い事など、毎日のように自転車で出かけていた。

私の住む町はとても田舎だったので、住宅地の周りには田んぼや畑がたくさんあった。

何の帰り道だったか、畑の隅に小さな小屋を発見した。道に自転車を停めて近付いてみると、1.5畳くらいの広さの木製の小屋で、高さは子どもでもしゃがまないと入れないくらいに低い。中にベンチの様なものと、コンテナが数個だけあった。


どう考えても、その畑の方の所有物で、一時的に野菜を保管するような小屋なのだけれど、当時の私は、ピカッと閃き、こう思ってしまった。


ここを、私の秘密基地にしよう!

オイオイ。


自宅に帰ると、早速小屋の内装を考え始める小3女子。

藁があったから、地面にあれを敷いて、その上にピクニックシートを敷こう。

ベンチは椅子、コンテナは並べて小さなテーブルに。チェックの布を被せたら可愛いかもしれない。水筒とおやつを持ち込んで、おやつパーティーをしたらどうだろう。

灯りがなくて暗そうだったから、懐中電灯を持って行くといいかもね。

トランプとか編み物(当時、かぎ編みにハマっていた)とかやっても楽しそう!


そうだ、Yちゃんにも話してみよう♩

膨らむ妄想。


まさにワクワク。楽しすぎる!



そして、数日後。

幼なじみのYちゃんに話し、2人で現場を見に行った。

この辺だよ~。

と、自慢気に案内した私。

…ところが。

あったはずの小屋が、すっかりなくなっていたのだ。

あれ~?!


風船みたいに膨らんだ妄想が、パチンと音を立てて割れた。


私たちが、しょんぼりして帰ったことは言うまでもない。


農家の方が撤去す直前に、たまたま私が見つけてしまったのだろう。

でも、あの調子だったら、本当に2人で色々持ち込んで、大事になっていたかもしれない(不法侵入・器物破損とか)ので、なくなっていてよかったんだ。それに、よく考えたら子どもだけでそんな暗い場所で過ごすなんて、危険だ。

当時の私たちには、そんな危機管理能力なんてあるわけもなく(時代もあるかも)、ただただ楽しかった。


計画は未遂で終わり、幻となってしまった私の秘密基地。

色々考えた時のワクワクが忘れられず、それからしばらくはいい物件(コラ)がないかキョロキョロして過ごしていたが、そうこうするうちに、だんだん秘密基地への熱も冷めていった。




そんなことを思い出したので、息子がキラキラしながら動画を見ている気持ちがよく分かる気がした。


その後、「押し入れ入ってもいい~?」と言って、ドラえもんみたいに押し入れで数十分過ごした息子。大好きなキーボードやポケモンカードを持ち込んで。

家の中での秘密基地。ザ・平和。いいね!

時代は変わっても、小さなことで楽しめるのは同じだよね。

私が子どもの頃と比べると、便利になった一方で、何かと制限が多く窮屈だなあと感じることもたくさんある。でも、小さな楽しみはあちらこちらに転がっているはず。

だから、どんなことでもいい。子ども達には夢中になれるようなこと、楽しみな世界を見つけて、広げていってほしいと思う。



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最後までお読みいただきありがとうございました♩



他にも、思い出したシリーズはこちら。子育てって自分の人生の復習みたいですね。

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