
テレカを見てはイケない理由。
【ユーモアエッセイ】
妹が安室奈美恵ちゃんの未使用テレフォンカードを持っている。
安室ちゃんが10代のころのCM物だ。
妹は安室ちゃんファンではないが、大事に保管している。
プレミアがつくまで手放さないらしい。
へっへっへと肩を揺らし、エゴむき出しである。
その姉、私は、武田真治さんの未使用テレフォンカードを持っている。
コッチはファンクラブ限定の貴重なテレカだゾ!
高校生のころ大ファンで、ちゃっかりファンクラブに入っていたのだ。
にわかファンとは違う重みがある。
彼の吹くサックスライブにも行ったし、歯磨きが好きだと知れば、お小遣いで買った歯ブラシとコップをセットで事務所へ贈ったこともある。
恥ずかしい手紙を添えて…。
『私の友達は真ちゃんのことを気持ち悪くて好きじゃないと言うけど、私は大好きです』
などと、ファンとしてありえない事を書いた覚えがある。
そして内容、幼稚園児。おバカ丸出しだ。
あーあ。思い出すだけで顔面の皮膚を毟りたくなるほどダメだ。叫びたくなる。
彼の手に届いたのか、当然返信などないわけで知る由もない。
きっと、事務所関係者に手紙が読まれ、シュレッダー裁きにあったに違いない。
あの頃彼は、数々のドラマに引っ張りだこの大スターだった。(今でも魅力的な方だと思う)
私は一度メルカリにテレカを出品し、彼を裏切ったことがある。
未使用で高く売れると思ったが、無反応で、結局出品を削除して、今でも家に眠っている。
もうテレカの需要がない。
だから妹の嫌らしいソレも通用はしないだろう。
彼は私から離れたくないらしいが、ごめんよ真ちゃん。
あなたのテレカを見るたび、思い出す。
変な手紙を送ったこと、特大ポスターを部屋に貼って夜な夜な眺めていたこと、写真集を買って穴が空くほど見ていたこと。
(写真集はメルカリで売れた)
後悔メモリーはまだある。
3列目の、しかも中央部席のチケットが入手できたコンサート。
友達と2人、学校帰りにセーラー服で行ったものだから、目立ったのだろう。トークの際、
「今日は学生さんも来ていただいてねぇ。ありとうございます」
と我々に優しく掌を差し出しくれた。
そしてファンしては一番この事実が欲しいはずーー目が合った!
視線が合い、彼特有のハニカム笑顔をプレゼントしてくれたにも関わらず、私は恥ずかしいあまり硬直し、ガチガチの無表情で無反応を貫いてしまった。
嫉妬にも似た空気が澱み、若干、場が凍りついたのを覚えている。
申し訳ないやら、何やらで脇汗がハンパ無かった。ただでさえあの頃は多汗だったのに。
恥ずかしいミーハーな時代の話しであるが、テレカを所持している限り消したい記憶が蘇るものだから手放したいのだ。
しかしゴミとして処分するのも気が引ける。
Telephone Cardだから。。。
難しい課題だ。
最後までお読みいただきありがとうございました!
また来てね★
~おまけ~
安室ちゃんがスーパーモンキーズで売り出し中のころ、近くのデパートに営業で来て、一階のちょっとした催事場のステージで歌と踊りを披露していた。
偶然にもその初々しい歌声を聴けたことは、自慢の思い出である。
安室奈美恵。を知らなかったからぼーっと見ていた私。
「すごく歌うまいなあ」と。
周囲の人たちも、2階3階からも覗き込むようにたくさんの人が彼女たちをみていた。
今では考えられないほど、ぽかんとして静かに見ていた。
売り出し中は無名だから、反応がイマイチであったが、曲が終わると拍手喝采。
スターは覚悟があった。
若いのに堂々としてい腹が座っており、全身全霊歌に込められていた。自分の全てを出していた。目が、違った。
スターはここから違うのかもしれない。
ウツルンデスで写真でも撮っていたらなぁ。
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