見返り
ある日、ボートのオーナーがある塗装業の男性にボートの塗装を依頼した。
その男性はペンキとハケを持っていって、オーナーに頼まれた通り、ボートを真っ赤に塗り始めた。
塗装中に船体に穴が開いていることに気づき、修理して、塗り終わると、ペンキ代を受け取って、帰っていった。
翌日、ボートのオーナーが塗装業の男性の家に行き、塗装代よりもはるかに高額な小切手を手渡したので、その男性は驚いた。
そして、
「 ボートの塗装代はもういただきましたけど。」と言った。
「これは塗装代ではありません。ボートの穴の修理代です。」
「 でも、そんな取るに足らないことで、こんなに高いお金をいただけませんよ。」
「それでは、あなたに説明いたします。
私はあなたにボートの塗装をお願いしたとき、穴のことを言うのを忘れていました。
ペンキが乾くと、私に何も言わず、息子たちはボートを運んで釣りに出かけてしまいました。
彼らは穴があることを知りませんでした。
そして、彼らが出かけた時に、私は家にいなかったので、伝えることができませんでした。
私が家に戻って、彼らがボートを持って行ったことに気づいたとき、ボートに穴が開いていたことを思い出し、愕然としました。
しかし、
彼らが無事家に帰ってきた時の、私のホッとした気持ちと喜びを想像してみてください。
ボートをよく見たら、その穴が修理されていました。
そして、その修理をしたのがあなただということがわかったのです。
あなたは私の息子たちの命を救ってくれたのです。
だから、あなたの親切な行いに対する見返りはお金では支払えないものなのですけど。」と話した。
やらなければならなかった仕事で、その価値に見合った報酬を得ることは出来る。
でも、この塗装業の男性は、頼まれたペンキ塗りだけでなく、オーナーには言わず、追加のお金をもらうことなど考えずに、親切心で穴を修理してあげた。
見返りを気にせずに、誰かのために親切なことをすることで、誰かの命が助かる。
+ + +
人生には必ず海に沈むような穴があるが、その穴に気付いて塞ぐ人がいれば、命が助かる。 人生のすべてがお金で賄われるわけではなく、報われなくてもカバーできることがある。 もしそうだとしたら、神様が今後、私たちが吸う空気や私たちを照らす太陽の代金を請求すると決めたら、私たちはどう感じるだろううか。 私たちに空気や光を使わせても、彼には何の得も損もないのだから、不公平だと思うだろう。
困っている人を見かけたら、見返りを期待せずに助けてあげることで、あとで、自分に素晴らしいプレゼントが返ってくるかもしれない。
もちろん、だからと言って、プレゼントをもらうことができるからという考えでやってはいけないよね。
悪い考えなく、自分の本当の心に従ってでないと。
ペニシリンを発明ましたアレキサンダー・フレミング(スコットランドの細菌学者)の物語で、彼が勉強できたのは、父親が子供の命を救ったからだった。その子供がアレキサンダーの教育の面倒を見てくれた大富豪の息子だったとは知らなかった。
その物語の内容をコピーした。
「百年余り前のある日の午後、イギリスの田舎町で一人の貧しい農民が働いていた。
突然、遠くから助けを求める声が聞こえた。一人の少年が不幸にも川に落ちてしまったのだ。
農民は何も考えず、川に飛び込み子供を助けた。
後でわかったのだが、この助けられた子は貴族の御曹司だったのだ。
数日後、男の子の父親が謝礼を手にやってきたが、農民はそれを丁重に断った。
貴族は農民の善良さに敬服し、彼の恩義を忘れまいと農民の子をロンドンに住まわせ高等教育を受けさせた。
農民はこれを受け入れた。
自分の子によい教育を受けさせることは彼の長年の夢だったからだ。
農民は嬉しかった。
自分の子が外の世界に行くことができ、自分の運命を変えるチャンスを得たからだ。
貴族も嬉しかった。
それは自分の恩人の夢をかなえることができたからだ。
その後、農民の子は優秀な成績でロンドン聖マリア学院から卒業した。
イギリス王室より勲章と爵位を授けられ、1945年にはノーベル医学賞を受賞した。
彼こそはアレクサンダー・フレミングで、ペニシリンの発明者である。
あの御曹司も成人した。第二次世界大戦中彼はひどい肺炎にかかったが、幸運にもペニシリンのお陰ですぐ回復した。
この御曹司こそイギリス首相チャーチルである。」
人間が本来持つ心を持って、助けてあげれば、必ず報われる。
ということだ。