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『夜のピクニック』恩田陸 感想

恩田陸の代表作ですね。
兄の家にあったので、久しぶりに再読しました。今まで紹介してきた恩田陸の本の中だと、あっさりした読み心地です。

*あらすじ*
高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。
それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。
甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために――。

*感想*
複雑な人間関係の中に、学生時代の淡い青春。
歩きながら人間関係の闇を追っていくの、「黒と茶の幻想」と一緒なのに、やっぱり学生ものだと雰囲気が全然違う。

そして、恩田陸の小説で結構出てくる、年の近い異母きょうだい。
恩田陸にもいるのかな?ってくらい、繊細な描写で、リアルで痛々しくて。
物事の受け取り方の引き出しを全部持ってるんじゃない?と思うほどです。

貴子と、特に融は、今まで溜めてきたどす黒いもやもやが、少しずつ溶かされていく様子が読んでたら想像できて、ううう~良かったよねぇって、親心のように安心しました。

「でも現実は、これからだもんなぁ」
ほんとに珍しくハッピーエンドの恩田陸。すっきり!

まぁ、だからこそ、長年のファンとしては、「私も恩田陸読んだことあるよ!夜のピクニックとか。」って言われたら、「まぁ、あの作風がふつうだと思わないでね」って思っちゃいますが笑
意味もなく偉そうぶっちゃいますが、「夜のピクニック」と「蜜蜂と遠雷」しか読んでない人は、恩田陸の本を読んでいないも同等ですよねー。

*言葉*
・たぶん、あたしも一緒に歩いてるよ。去年、おまじないを掛けといた。
・でも、あたしは覚えている。あたしの記憶はあたしだけのもの。それでいいの。
・確かに順番というのは大切だ。
・「おまえにぐちゃぐちゃになっていて欲しいんじゃないの。おまえに関わっていてほしくて、責任を感じてほしくて、そういうのとしてるんじゃないのかな」
・「戦う愛みたいなのが必要だと思うんだよ。ぶつかってく愛、みたいなの。」
・好きという気持ちには、どうやって区切りをつければいいのだろう。どんな状態になれば成功したと言えるのか。
・雑音だっておまえを作ってるんだよ。雑音はうるさいけど、やっぱ聞いておかなきゃなんない時だってあるんだよ。
・みんなで、夜歩く。ただそれだけのことがどうしてこんなに特別なんだろう。

今日はこのへんで。
ありがとうございました。

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