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『きのうの世界』恩田陸 感想

*あらすじ*
上司の送別会から忽然と姿を消した一人の男。一年後、彼は遠く離れた町で死体となって発見された。そこは塔と水路のある、小さな町。疾走後にここへやってきた彼は、町の外れの「水無月橋」で死んでいた。
この町の人間に犯人はいるのか。不安は広がっていく。

*感想*
塔と水路の町。
記憶の能力を持つ男。

秘密のある町は「球形の季節」のような雰囲気でした。違うのは、その秘密を知っているのは極少数の人ということ。

能力をもつ人は「常野物語」シリーズにありそうな。みんな、人と違うものを持って苦しむ。
今回の能力は、最終的にみんな同じ最期を迎えるということで、男の死の真相については、いまいちピンときませんでした。
なんちゅー能力やねん。

でも、謎を追いかけていく人たちの描写は面白かったです。
珍しく、大きい謎はだいたい解説してくれて、すっきりしました。
逆に、中途半端に謎がわかってしまったので、塔の箱に糸切バサミとか、赤い糸のウワサとかすごく気になる…

*言葉*
・世の中には掘り返さないほうがいい場所、手を触れないほうがいい場所というものがあるんじゃないでしょうか
・世界は必ずどこかでつながっていて、どこかがほころぶと、他の部分も無傷ではいられない
・今日という新しい一日、昨日までとは違う世界が、もう始まってしまっている

今日はこのへんで。
ありがとうございました。

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