薔薇色の日々。
追いかけても追いかけても 逃げて行く月のように 指と指の間をすり抜ける バラ色の日々よ
毎日通るおうちの薔薇がきれいでつい見惚れる。
雨上がりの朝。
きみは少し気怠そうで、太陽なんてどうでもよさそうで、それでも名残の雫が光って、本人の意志とは関係なく美しい。
きらめく午後。
空気をたっぷり含んだスカートで、きみは無邪気に笑う。
月が見守る深夜。
2、3歩通り過ぎてから、深く濃い夜の香りがした。足を止めずにはいられないほどの。
▽
昔はよく切り花を買っていたけど、この頃は野に咲く花がいちばんいいと思える。
根を張って、枝を伸ばし、つぼみができて、花が開く。雨の日があり、横殴りの風が吹いて、雪の日もあれば、カンカン照りの日だってある。
だけど、いつもそこにいる。それが頼もしい。
ご近所さんの薔薇は、少しずつ褪色して水分量が減って、地面に花びらをばらまいている。
その姿さえ、アンティークのドレスのようで美しい。
あの時感じた夜の音 君と癒やしたキズの跡 幾つもの星が流れていた 慰めの日々よ
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?