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緊張と安堵の間から見える断面

(仕事としての)料理をしているとき、
一番緊張するのはお肉を切る瞬間。

コースも終盤に近付き最大の山場!というタイミング、思うようにならなかったところで調整が利かない。
だからこそビシッ決まった時は心から安堵するし、思う以上の仕上がりであれば、思わず心の中でガッツポーズをせずにはいられません。


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私がシェフを務めるwinemanは、カウンター席とテーブルが一つ。わずか10席の小さなフレンチレストランです。

アラカルトとコース3種類の料理を一人で作るため、火入れを真空(低温)調理で行うことも検討しましたが、スペースの問題で断念。

フライパンやオーブン、蒸し器などを使ったアナログな火入れをしていますが、きっと真空調理を取り入れていたら、この緊張感や安堵の気持ちは味わえなかっただろうと思います。

同じ温度、同じ時間、塩加減もパーセンテージで定めてしまえば、間違いなく美味しい。私ではない誰かが作っても、確実に。
でもそこに躍動感はあるのか?
料理人としての醍醐味を感じられるのか。

緊張感があるからこその面白味があり、自分の感覚だけを信じ目標に達する、あるいは失敗を繰り返すことは、料理の腕をあげるだけではなく、人としての成長にも繋がるのではないかと私は思っています。
失敗を避け続けただけでは、見えない世界がその先にはあるはず。


今後お店の形態や規模の変化によっては、そういった器具や装置に頼ることもあるかもしれない。
けれど、自分の感覚を研ぎ澄ませておく事はとても大切で、''出来ないからやらない''ではなく、''出来るけどやらない''という選択が出来る自分でありたいなと思う。


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