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【読書感想文】やっぱり、著者の預金最強論&投資論には納得しかねます…『「コツコツ投資」が貯金を食いつぶす』

今回紹介するのは、経済ジャーナリスト・荻原博子さんの著書『「コツコツ投資」が貯金を食いつぶす~一生分のお金を守る投資・保険の考え方』

荻原博子さんといえば、「資産形成・運用としての投資は反対・銀行の預貯金が最強」を強く主張されている方。

私は過去に『投資なんか、おやめなさい』という本も読んだことがあるのですが、こちらも本書と似たような内容でした。


…んで、今回紹介する本の感想を述べさせてもらうと、正直「うーん。。。」って感じです。

そう思った理由を2つ紹介します。

●「うーん。。。」ポイント①:預貯金のインフレリスクに触れられていない


まず「うーん。。。」と思ったのは、本の中で「銀行の預貯金は減ることがないから安全」という主張が何度も出てくること。

たとえば定期預金なら、ほったらかしておいても減ることはありません。一方で、投資に関しては、放っておけば、増えないどころかお金は減っていく可能性もあるということを忘れないでください。(本書より)

こんな感じで何度も「預金は減らない」という話が出てきます。

一見「そうだよね〜」と思える文章ですが、インフレが起きると預金は目減りしちゃいます(現金の価値が下がるので)。

今の日本は海外に比べると「低インフレ」と言われていますが、原材料費の高騰などでじりじりと物価は上がってきていますし、なんだかんだでインフレ(というかスタグフレーション?)傾向なのではと私は思っています。

それに対して「銀行の預貯金だけやっていればいい」と言わんばかりの著者のスタンスに、ちょっと不安を感じるんですよね。

だから「適度に投資もやった方が資産分散になっていいのでは?」と私は思っています。


…余談ですが、この本、後半の個人年金保険の話ではインフレリスクについて触れているのに、「銀行の預貯金がインフレ時にどうなるか」についてはまったく書かれていないんですよね。

もっと言うと、全体的に主張ばかりで根拠が薄い気がします。

前に読んだ『投資なんか、おやめなさい』の方が、主張の裏付けが細かく書いてあったような気がしました。


●「うーん。。。」ポイント②:投資信託に対する固定観念が強すぎる

あと「うーん。。。」と思ったのは、著者の投資信託への考えが凝り固まりすぎていること。

個人的に気になったのは、

●「投資信託=金融機関の窓口の人に上手く乗せられて買わされる損な商品」みたいな書き方をしている

●「安くない手数料を払ってまで買う価値があるのか」と書いている

●「投資をやりたい初心者は、信託報酬がかかる投資信託ではなく、一つの企業の株だけを買うべし(
生活に影響を及ぼさない資金で)」と書いている

●「『投資信託は長期運用だから安心です』と言うが、いったい誰に未来のことなどわかるというのか」と書いている

などの部分。

私がこれらに対して言いたいのは、

●投資信託はネット証券で買うのがメインになりつつある。「金融機関に直接行って、金融マンの口車に乗せられて変な商品を買わされないようにしよう!」と発信している人たちもたくさんいるし、金融機関で投資信託を買おうと思っている人はだいぶ少なくなってきているのでは(特に若年〜中年層)。

●投資信託の手数料は言うほど高くないと思う。実質コストを含め0.1〜0.2%のものもある(10万円分の投資信託を購入したら1年間で100円〜200円かかるイメージ)。

●個別株(1つの企業の株)を買うのに必要な最低金額は数十万円〜数百万円にのぼることが多い。投資信託なら100円から買える。初心者が生活に影響を及ぼさない資金で投資をするなら、個別株より投資信託の方がいいのでは。

●「
いったい誰に未来のことなどわかるというのか」はその通り。それで言うなら投資信託だけではなく、銀行預金にだって倒産リスク・インフレリスクがついて回る。銀行が存続し、物価が今のまま低インフレで行くとも限らない。

ということ。

とはいえ私も資産運用を勉強中の身なので、自分が言っていることが100%正しいとは言えません。

でも著者と意見が合わないなぁと思うことが多々あったので書かせてもらいました。


あと、本の中で矛盾が多かったのも気になるところ。

個人年金保険では「インフレが起きて受け取る金額が目減りする可能性がある」と言っておきながら、預金のインフレリスクには触れられていない。

投資信託のページでは「金融機関の窓口で損する商品を買わされる」みたいな書き方をしておきながら、株式投資のページでは「株はインターネットで購入することをおすすめします」と書いている、など。

自分の主張に合うように情報を取捨選択している感じが伝わってきて、いち読者として納得がいかないところが多々ありました。

荻原さんの本を読みたい方は、他の本を読むのがいいかもしれません(ただし本書はページ数がそんなに多くなく、1章ごとの文章量もちょうど良いので読みやすいです)。


●とはいえ、勉強になったところもあった

ここまで反対意見ばかりを書いてしまいましたが、勉強になるところもありました。

金・純金積立に潜むリスクとか、外貨預金・外貨建て保険のカラクリとか、地震保険の支払い金額・支払い条件とか。

普段あまり興味を持ってこなかった分野だったので調べようともしなかったのですが、「へー、これってこういう仕組みになっていたんだ、気をつけよう」と身が引き締まる思いがしました。

投資信託に関する考え方はこれからもきっと相容れないと思いますが笑、今後もちょいちょい荻原さんの本を読んでいこうと思います。

***

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