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【読書感想文】残酷、超残酷。だけど、読まなきゃ一生損するかも・・・『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015』

今回紹介するのは、橘玲さんが2014年に発表した『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015 知的人生設計のすすめ』です(原著は2002年発表)。

橘玲さんは出版社出身の作家さんで、金融小説も書いていらっしゃる方。

本書は、私がよく観ている投資系YouTuberたちが口を揃えて「この本は読んでおけ!」と言っていた1冊だったので、手に取ってみました。

●残酷すぎて、読むのがつらい

まず率直な感想を言うと、書いてあることが残酷すぎて、読むのがめちゃめちゃつらかったです。笑

本のタイトル的に「お金持ちになれる方法をわかりやすくキャッチーに紹介する本かな??」と思いましたが、実際はまったく違うものでした。

そもそも本書にある「黄金の羽根」とは、

制度の歪みから構造的に発生する”幸運”。手に入れた者に大きな利益をもたらす。

本書より

という意味。

これだけだと「なんのこっちゃ?」って感じだと思うので、本書の冒頭に紹介されているサッカーのチケット争奪戦の例を挙げます。

日韓共催の今回のワールドカップは、最初からチケット問題で揺れました。とくに日本国内で人気は沸騰し、1枚7000円のチケットがネットオークションでは20万円以上で売られていました。このチケットを手に入れるために、スポンサーの商品を買い漁って抽選の権利をもらい、山のような葉書を送り、ひたすら電話をかけ続けたひとも多いと聞きます。
しかしその一方で、競技場には、ほぼ全試合のチケットを手にし、全国の会場を転々としながら家族で観戦を楽しんでいるひともいました。
なぜこのひとたちは、簡単にチケットを入手できたのでしょうか?

本書より

一見すると「えーっ!ずるい!」と思うかもしれません。私もそう思いました。

でも、ほぼ全試合のチケットを手にしていた人たちは、特に悪いことをしたわけではありません。

かつ、その人たちにしかできないことをやったわけでもありません。

チケットをやすやすと手に入れていた人たちは、合法的な抜け道(著者の言葉を借りれば、「黄金の羽根の拾い方」)を知っていただけなんです。

具体的にどうやってチケットを手に入れたのかは本書を読んでもらいたいのですが、このエピソードの終盤に著者は、こんな問いかけをしてきます。

21世紀末に到来する「知識社会」においては、知識を獲得して近道をするのか、金を払うのか、それとも回り道をとぼとぼ歩いて帰るのか、誰もがその選択を迫られることになります。
あなたは、どれを選ぶのでしょうか?

本書より

・・・もう、めちゃくちゃ残酷じゃないですか??笑

私はこの文章を読んだ瞬間、血の気が引きました。

でも本書からすれば、このチケット問題はまだまだ序の口。

これ以降は、マイホーム購入のカラクリや、厚生年金の割の合わなさ、自営業者がどれだけサラリーマンより優遇されているか、逆にサラリーマンがどれだけ税金を搾り取られているかなどが書かれていて、もう読めば読むほど絶望します。

正直読むのを途中で辞めようかと思ったくらいです。笑

でも読み終えた時には「なんだかんだで最後まで読んでよかったな・・・」という希望めいた穏やかな気持ちになりました。


●思考停止せずに生きていくためには読んでおきたい1冊

この本のいいところは、絶望(=現実)を書くだけではなく、そこから黄金の羽根を拾う方法もちゃんと示してくれていることです。

特に「マイクロ法人(自分が「個人」と「法人」の2つの人格を持つこと)」で得られるメリットや、より得をする自営業の裏技を丁寧に書いているのが印象的でした(私がマイクロ法人を持つのは当分先の話になりそうですが)。

いつか独立したいと考えている方はもちろん、今のところ起業するつもりなんてさらさらないという方にもぜひチェックしてもらいたいポイントです。


そんな中で私がこの本から学んだのは、

●世の中には、知っている/実行するだけで得をすることがたくさんある
●逆に、知らない/実行しないだけで損をすることもたくさんある

ということ。

この本の中には、知っている/実行するだけで得をする情報がわんさか出てきます。

一方、それらの多くは私が知らない/やったことがないことだらけだったので、「自分、こんなにも損をしてきたのか・・・」とつらくなりました。

でも、「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」ならぬ「知るは一時のショック、知らぬは一生の損」と思えば、これくらいの痛みは大したことありません。

むしろ「いい情報を得ることができてよかったなー、これからはもうちょっと頭を使って生きていこう」という前向きな気持ちになれました。

2014年に発表された本(原著は2002年発表)なので少し古い情報もあるかもしれませんが、考え方としては令和の現在でも十分に通用すると思います。


日本社会のシステムを知りたい人、これからの人生で受ける損をなるべく小さくしたい人は読んでおいた方がいいかもしれません。


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