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【読書感想文】いつまでも「日本はデフレだから物価が上がらない」なんて言ってられないのでは。。。『買ったら一生バカを見る金融商品』

今回紹介するのは、荻原博子さんの2021年の著書『買ったら一生バカを見る金融商品』です。

もうタイトルからわかるかと思いますが、今回もNISAやiDeCoのような投資商品のことをめちゃくちゃに言っています(笑)。

さすがは「資産形成としての投資に反対」「現金が最強」を豪語する著者だなって感じです。

正直前回紹介した書籍(『「コツコツ投資」が貯金を食いつぶす』)と内容がほぼ一緒で、あまり言及する箇所がないので、さらっとまとめる程度にします。


●NISA・iDeCoについてもうちょっと勉強してほしい

今作を読んでいて思ったのは、やっぱり(と言ったら失礼なんですが)著者はNISAやiDeCoのことを知らなすぎるし、決めつけで語っている部分が多すぎる気がする、ということ。

たとえば著者が「問題点」と言っている部分が設定を変えるだけで解決するものだったりとか、「そもそもそんな風にNISAを使う人いませんよ??」と言いたくなるような部分があったりとかしました。

NISAやiDeCoの仕組みを知らない人が読んだら誤解しちゃうかも。

今流行っているこの2つの制度を否定することがこの本の1番の売りだと思うのですが(帯コピーだってそんな感じですし)、だとしたらもうちょっとページを割いて、いろいろなデータを出して検証すべきだったのではと思います。

それぞれたったの数ページしか割かれていないし、全体的に話がいろいろな方向に飛んでいっちゃってるので、ちょっと内容が薄いな〜と思ってしまいました。


●もう「物価が上がらない日本」とは言えないのではないか

そして本書でも、著者が長年提示してきた「日本はデフレだから現金を持っていれば安心」という論が展開されています。

「相変わらずこの人の主張は変わってないな」で済ませればいいのでしょうが、読んでいる途中で、以下の文章がやけに引っかかりました。

デフレとは、物価が下がり続けて商品やサービスの価格が下落していく状態で、物が安く買えるため家計には嬉しいのですが、同時に収入も下落していくため、経済活動が安定化しません。
デフレ下では、時間が経つにつれ商品の価値が下がり、現金の価値が相対的に上がるので、現金を持っていたほうが強い。(中略)つまり、デフレ下の今は、「借金減らして、現金増やせ!」が理に適っているのです。

借金を減らすのは大事だと思うんですが、それ以前に「今の日本って、物価下がってるか?」という疑問がわきました。

この本が発行されたのは2021年。

アメリカみたいにバーン!とインフレが起きたわけではありませんが、コロナの影響も受けて食料品などの値上げがじりじり家計を圧迫した1年だったと思います。

そんな時に昔から変わらない持論を展開して、「今はデフレだから物価が上がらないですよ〜現金がいいですよ〜」なんて言っちゃって大丈夫なの?と思いました。

ちょっといくらなんでも持論に固執しすぎなんじゃないの、と感じたわけです。


ましてやこのnoteを書いている2022年6月現在は、世界情勢などの問題で原料費が上がり、品物が続々と値上げしています。

そんな時にこの文章を読んで、「現金の価値も目減りしているし、現金が強いとも言えないのでは?」「2022年の状況を見たらなんて書くんだろう?」と思ってしまいました。

個人的には、現金を厚めに持つのはいいけど、現金が強いとは言い切れないかな、と思います。

なので貯金以外の資産形成の選択肢も模索しているところです。


まぁ何はともあれ、著者とはやっぱり意見が合わないなと思った1冊でした。

でも2022年の物価上昇を踏まえた本が出るなら、読んでみたいです。


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