『今年もまたあの映画を――』クリスマス恒例の心理と脳のしくみ
クリスマスの時期になると、なぜか毎年決まって観たくなる映画があった。
私にとってそれは、子どもの頃に家族と観た作品や、友人と話題にした名作。DVDやブルーレイを引っ張り出し、「今年のうちに見なきゃ!」と小さな使命感に駆られていた。
変わったことと変わらないこと
最近では動画配信サービスの普及で、映画1本にそこまでの仰々しさはなくなったかなと思う。
再生ボタンを押すだけで、当時の記憶が鮮明に描き出されるような便利さ。けれど視聴履歴を見ると、最後まで観たタイトルの隣に「途中で止まった」ものがずらりと並んでもいて。
そして、「観たいよリスト」に積まれた未視聴タイトルたち。増えていく一方ですが、そのほとんどが消化されないことを、私たちはなんとなく自覚しています。
なぜ同じ映画を繰り返して観るのか
それでも、なぜこんなにも、私たちは同じタイトルの映画を何度も観てしまうのでしょうか。
初めて「観たい」と思ったときと、「もう一度観てみよう」と思うときでは、ひょっとすると、心の中で働く動機が違うのかもしれません。初回の「観たい」は、新しいものへの好奇心や刺激を探し求める心理から。再視聴の「もう一度」は、安心感や懐かしさを求める傾向が強いと言われています。
脳の構造には「可塑性」があり、記憶や感情を再構築するプロセスがあるとされていますよね。同じ作品を観るたびに新しい発見や解釈が生まれるのは、そのためかも知れないです。
映画がもたらす小さな奇跡
クリスマスに毎年観る映画は、単なる娯楽以上の意味を持っている気がします。それは、過去の自分と対話しながら、未来の自分を少しずつ形作る作業のようなもの。だからこそ、今年もまたあの映画を――そんな気持ちになるのではないでしょうか。
大切なのは、新しいリストを増やすことではなく、心が求める1本にもう一度出会うことかもしれません。
さあ、今年はどの映画を観ますか?
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