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エプソンにおけるインクルーシブな障がい者活躍とは?

「障害者週間(12月3~9日)」をご存じでしょうか?

障がい者の福祉についての関心と理解を深め、障がい者があらゆる分野の活動に積極的に参加する意欲を高めることを目的として、定められている週間です。
この期間に合わせ、毎年、国や地方自治体において、さまざまな取り組みが行われています。

エプソンでは、同週間に先立ち2023年11月に社長の小川さんが特例子会社*であるエプソンミズベ株式会社(以下、エプソンミズベ)湖畔工場(長野県諏訪市)を訪問しました。

*特例子会社
障がい者の雇用促進と安定を図るため、障がい者の雇用に特別配慮した子会社のこと。一定の要件を満たす場合には、特例としてその子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用しているものとみなし、実雇用率を算定できる制度。
エプソンでは、エプソンミズベ、エプソンスワン2社の特例子会社を活用した障がい者活躍の機会拡大を進めてきており、エプソンミズベでは150人を超える障がいのある社員が活躍中。

本記事ではその様子をレポートします。

エプソンは「障がいの有無・種別で判断をせず一人ひとりの強みを活かし、会社とともに成長し、成果創出に貢献する」という方針の下、障がい者が活躍できる企業文化の醸成に取り組んでいます。



視察・業務体験


エプソンミズベにおける以下4つの業務について、具体的な事業への貢献状況をエプソンミズベ従業員(以下メンバー)から小川さんに説明してもらいました。 
※エプソンミズベ業務詳細についてはこちら

●プリンター部品製造用治具の洗浄
●全国から回収されたインクカートリッジの仕分け
●ICチップ検査用基板の高精密オーダーメイド制作
●腕時計の外装部品を加工前に準備する精密作業

今回、小川さんはインクカートリッジの仕分けと時計の外装部品を加工する前の準備作業を体験しました。
メンバーの皆さんが自らの強みを活かし専門性をもって業務に従事されていること、また各業務が事業のバリューチェーンの一端を担っていることを、再確認する機会となりました。

座談会

視察・業務体験の後、業務工程の説明を行ったメンバー4名が参加し、座談会が開かれました。
最初は表情が硬かったメンバーも徐々に緊張がほぐれ、和気あいあいとした雰囲気での開催となりました。
座談会より一部抜粋しご紹介します。

小川:仕事をしていて楽しくやりがいを感じるのはどんなときですか?

メンバー:  後工程である事業部から褒めて認めてもらったときは嬉しいです。
うまくいかないときには指摘とともに、どのような改善が必要かしっかりフィードバックをもらえることにやりがいを感じています。また、事業部の関係者が自分の障がいを特別視せず、普通に接してくれることも嬉しいです。 

小川:その嬉しかった経験や気持ちがモチベーションになり、技能の成長にもつながっているのですね。       

メンバー :PaperLab(ペーパーラボ)*1 関連業務に携わり始めたころ、(再生紙を作るために投入する)紙のブレンド*2 について皆で試行錯誤し、意見出ししたことが実際に改善につながったときは嬉しかったです。

*1 :PaperLab:エプソンが開発した乾式オフィス製紙機。使用済の紙を投入し、水をほとんど使わずに再生紙を作る。
*2 :紙のブレンド:PaperLabへ投入された使用済の印刷状態により、再生される紙の色味が異なってくる。エプソンミズベでは古紙回収・分別・再生・活用の業務を行っている

小川:自分の意見や工夫が直接品質につながることは嬉しいですね。
つらい・大変と感じるのはどんなときですか?

メンバー:単純で細かい作業を一日中 行っていると身体がつらくなることはあります。

メンバー:品質や納期を常に意識しなければならないことは大変ですが、後工程の方のことを考え、頑張っています。

小川:さまざまな場面でプレッシャーを感じることもあると思いますが、一日を通してほっとできる時間があることも大切ですね。
私に何か要望があれば、ぜひ聞かせてください。

メンバー:エプソンミズベメンバーは、湖畔工場だけでなく、長野県内にある複数の工場で活躍しています。みんなが活躍している姿を小川さんに見てもらいたいです。

小川:ぜひお話しできる機会をもちたいと思います。
皆さんがここでそれぞれの業務をしてくれるからこそ、エプソンの事業が成り立っています。皆さんはエプソンにとって、とても重要な役割を果たしています。
これからもぜひ楽しく仕事をしてほしいと思います。 


「エプソンにおけるインクルーシブな障がい者活躍とは?」

エプソンが取り組む障害者活躍について、改めて小川さんの想いを聞きました。

多様性=能力を最大限発揮すること

人は万能ではなく、それぞれに得意な分野や不得意な分野があります。
障がいの有無に関わらず、すべての従業員の自律、成長、そして達成感や貢献感といったものが個人の幸せにつながり、それがより大きな価値を生み出す力となると信じています。障がいの有無で線を引かずに、できることを互いに知り、またやり方を工夫しそれぞれができることを増やしていくことが重要ではないでしょうか。
障がい者だから難しい作業をさせてはいけない、大変な思いをさせてはいけないなど、「障がい者だから」という思い込みを取り除くことがスタートです。
多様性を意識しすぎて、障がいのある人とない人の違いを探しがちになりますが、逆に共通点を見つけることも大切です。それが当事者意識の醸成と見えない枠を取り払う良い機会になります。

では、インクルーシブな障がい者活躍を全ての職場で推進するのか。職場環境や職種によっても、課題なく推進ができる職場とそうでない職場があっても良く、対応ももちろん一律である必要はありません。

必要なのは「機会」と「選択肢」を提供できる環境づくり

障がい者が活躍する環境づくりのためには、当然状況に応じた配慮が必要です。
それと同時に、障がい者の周りにいる上司や同僚へのサポートも忘れてはいけません。これを無くしては、真の意味でのインクルーシブな障がい者活躍の実現は困難です。
なぜなら、配慮の定義があいまいな場合も多く、きれいに線引きできるものではないからです。いろいろな特性を持った障がい者の方がいますし、成長に対する考え方やストレスの感じ方もさまざまです。エプソンの職場も製造現場やオフィス、職種も設計、人事など多様です。
一律の対応ではなく、各々の職場における課題を当事者だけではなく、職場としての観点で整理した上で、解決策の有無も含めて課題一つひとつに向き合うことが、インクルーシブな障がい者活躍を一歩ずつ確実に進めることにつながると考えています。

エプソンが柔軟に、そして持続的に成長する企業であり続けるためには、わたしたち自身が多様でなければいけません。
いろいろな人がいて、いろいろな人が活躍できる。障がい者活躍もその一つです。従業員の皆さんが自身の選択を通して、業務や職場が「自分に合っている」と感じるとともに、能力を最大限発揮していっていただきたいと思います。そのための環境づくりに、会社としてしっかりと取り組んでいきます。


エプソンにおけるインクルーシブな障がい者活躍に向けた取り組みはこれからです。障がいのある従業員の皆さんはもちろんのこと、障がいのあるご家族がいる方もいらっしゃいます。
エプソンでは、すべての従業員がより活躍できる会社を目指し、障がい者活躍について一人でも多くの皆さんに知ってもらうことから始めていきます。


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