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隣人 -The Neighbors-(2012) しっかり韓国味のちょいホラーサスペンス。

 どうしても韓国映画が観たくなったので、アマプラのマイリストにあったこちらを鑑賞した。今から12年前の作品ということもあり少し古めかしいところもあったが、サイコ殺人鬼の異常さ、警察の無能さ、素手でボコボコにできる腕っぷしの強い半グレ男など、近年の作品にも通ずる韓国映画あるあるをしっかり見つけることができた。主演のキム・ユンジンはLOSTに出ていた女優さんだ。

<あらすじ>

カンサン団地11棟201号に住むヨソンは、夜遅い塾帰りにひとりでバスで帰宅することに。ところがヨソンはそのまま行方不明となり翌日バラバラ死体で発見される。母ギョンヒは心に深い傷を負い、娘の幻覚を見るようになっていた。犯人が捕まらないまま10日おきに連続殺人事件が起きるという状況に。団地の人々の精神状態が限界に近づくなか、102号室の男が死体の入っていたカバンと同じものを購入していたことがわかり住民たちは疑念を抱いていく。

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<感想>

※以下ネタバレを含みます※

「死んだ娘が1週間続けて帰ってきた」という字幕から始まり、導入はなかなかホラーテイストだ。殺されたはずの娘が毎日ただいまと帰ってくる。震えながら怯える義母。しかしストーリーの大部分は猟奇的殺人をめぐるサスペンスであり、あまりホラー味はない。

 犯人は最初から分かっているタイプの作品で、キム・ソンギュン演じる犯人の男はTHE韓国映画の連続殺人犯っていう風貌。いわゆる根暗な弱者男性だ。どの作品でも大体こんな感じだから、韓国社会では殺人を犯す人間はこういうイメージなのかなぁと感じる。

 そして殺害された中学生&同じ団地に住む同級生をキム・セロンが一人二役で演じる。実を言うと知らない女優さんだったけど、当時12歳ながら不安定さと明るさを見事に演じ分けていて凄いなと感じた。サムネの写真でいうと、正面のリュックを背負っている子と左端の眼鏡の子が同じ女優さんだ。二人は正反対のタイプの少女であり演じ分けが見事だった。実力派の子役さんだったというのも納得。

 この作品は登場人物がまぁまぁ多く、伏線が至る所に張り巡らされている。綺麗に収束されていくなぁという部分もあれば、別になくてもよかったかなという設定があり好みが分かれそう。特に夜勤の警備員さんが実は時効直前の殺人犯という設定は余計かなと感じてしまった。「真犯人はこっち」というどんでん返しなら良いけどそうでもないし、何を伝えたかったのか、サブストーリーとしての位置付けがよく分からなかった。

 犯人と関わったかばん屋のおじさんやピザ屋のお兄さんが異変に気づくのは分かるけど、途中から出てきた高利貸しの男(マ・ドンソク)の腕っぷしが強すぎて何度も犯人がボッコボコにされるのは無理があり過ぎて笑ってしまった。ちなみにピザ屋のお兄さんはめちゃくちゃにアイドル顔で、もさい男性しか出てこない画面の中でピカピカと光を放っていた笑。

 始めは娘の霊に怯えていた義母だったが、娘が自分を母親と慕っていたことを知り、おかえりと抱きしめる。娘は家に帰れなかった無念を晴らそうとしていたのかもしれない。やっと打ち解け始めた義母におかえりと言ってもらうのを待っていたのかも。複雑な親子関係を演じた二人の演技が美しかった。

 最後は全員集合して犯人を追い詰め無事にお縄となるのだが、最後のシーンで答え合わせが。拉致監禁されたものの生還したかばん屋の亭主が、犯人は自分の側を離れず、ずっと何かに怯えていた、と語るのだ。

 画面は過去の殺人犯の様子に切り替わる。わなわなと震え、地下から歩いてくる少女に怯えている男。画面には「殺したはずの子が1週間続けて家に帰っていく」との字幕。そう。母親が帰ってくる娘に怯えていたように、犯人は自分が殺害してバラバラにしたのになぜか毎日家へと帰っていく少女に恐怖していたのだった。そしてそっくりな同級生を殺害することでこの呪いを終わらせよう躍起になっていたのだ。

 正直なところホラーテイストは本当におまけ程度だけれども、ホラーファンとしてはこの”ちょい足し”でも大いに満足できてしまうのが性だろう。サイコキラーものに一味足したところは評価できる。しかしごちゃごちゃとしたサブストーリーが少しうるさく感じてしまったのも事実。何が主軸なのか、誰が主人公なのかよく分からず…。ちょっと詰め込みすぎた感は否めなかった。まぁエンタメとしては観て損はないと思うので韓国映画好きならぜひ。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。





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