スラムドッグス(2023) 犬好きならたぶん泣く。
何となく深く考えずに済みそうなコメディを選択。喋る犬たちが主人公だが、テイストはかなり下品で排泄物や下ネタのオンパレードとの評価。TEDと比較する声が多かったが、ペットを飼っている人からしたら排泄物は毎日処理するものだし、私はTEDやデップーの方がよっぽど下品だと感じた(嫌いとは言っていない)そしてこんなテイストの作品なのに犬たちの健気な愛情や友情に目頭が熱くなり、気がついたらボロボロ泣いていた。
〈あらすじ〉
<感想>
※以下ネタバレを含みます※
主人公はサムネ左から二番目、ボーダー・テリアのレジー。動物虐待を行う飼い主のダグに自宅から遠く離れた場所に捨てられるが、ただの遊びだと思い込み必死に自宅に帰ろうとする。他の野良犬たちに「お前は捨てられたんだ」と諭されるも、ダグが自分を愛していないことを受け入れられない。まずこの健気さに目が潤む。
特にボストン・テリアのバグ(左から3番目)は自分も悲しい過去を持つ野良犬だ。短気でありながら情に熱く、レジーと何度も衝突しながら深い友情を育んでいく。
自分は捨てられたと悟ったレジーは、飼い主ダグのアソコを噛みちぎる(笑)という復讐を決行するために仲間たちと共に自宅を目指す。始めこそ使命感に燃えていたレジーだが旅の途中で心が揺らいでしまう。ダグはいつもレジーのことを”bad boy”と呼んでおり、まともに名前で呼んだ事はなかった。一度でいいから”good boy”と呼ばれたかったと話すレジー。”good boy”は日本語でいう「良い子だね」に当たる。ダグに好いてもらえなかったのは自分に責任があると考えてしまうレジーが、まさに親に愛されなかった子供と同じで涙が止まらず。
犬同士の友情もジャンプ漫画さながらに胸熱だ。あるお祭り会場で花火が上がるのだが、犬たちは花火が何か知らず「この世の終焉」だと勘違いする(お盆の時期の犬あるあるw)。必死に逃げ惑う4匹だがレジーのバンダナがフェンスに引っかかってしまう。「僕に構うな」というレジーに対し、他の3匹は一瞬も躊躇する事なく引き返し皆で引っ張ってくれる。もし人間だったら流石にクサすぎる演出かもしれないが、犬たちがやるといちいち感動的に思えるのだ。
レジーとバグ(先輩野良)が喧嘩別れしてしまうという、これまたベタなシーンがあるのだが、バグが警察犬であるシェパードに真っ先に「親友を助けてくれ‼︎」と頼むシーンも泣けたし、何とか家にたどり着いたレジーが何も反省していないダグに向かって自分に親友ができたことや本物の愛を知ったことを(通じないのに)一所懸命話しているところも感動した。もう書ききれないほどグッとくるシーンがたくさん。ちなみにダグは一切改心などはせず、最初から最後までクソ野郎のまま終わる。
4匹の犬それぞれに共感できるバックボーンがしっかりとあること、そして勧善懲悪的なラストでダグ以外のみんなが幸せになったことが素晴らしい。PG12は少し甘いかなというレイティングだが、貴方が犬好きのアダルトなら是非観てほしい一作。下ネタは山盛りではあるが犬がどれほど一途に人間を愛しているのか、私たちはその健気な愛情に日々応えられているのか、あらためて考えさせられる良作だった。前回のドッグマンでもそうだが映画に犬が出てくると基本的には評価UPします。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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