ピエロがお前を嘲笑う(2014)感情が置いてけぼりに。
なるほどなるほど。そう来ましたか。鑑賞後はぽかーん。まさに狐につままれた感じ。オチのために存在しているような映画なので、あまり多くを語らずにさくっと紹介する。ドイツの作品です。
〈あらすじ〉
〈感想〉
いやーめっちゃネタバレしたいけど…そこが肝だからやめとこうかな。
※これ以上情報入れたくない人は読まずに鑑賞することを勧めます※
オープニング映像が作り込まれていてテンション上がる。ドラゴンタトゥーの女もそうだけど、オープニングの映像とテーマ曲がしっかりある映画は「よし観るぞっ」と気合いが入る。
ドイツ語の響きはとても素敵なのだが、一言も分からないので字幕を追うのが少々忙しい。大学の第2外国語でドイツ語を選択したけどさっぱりだったことを思い出す笑。セリフの中にさらっと英語を混ぜてくるところがカッコいい。
かなりテンポ良く展開していくので退屈することはない。冴えない日々を送るベンヤミンは、ひょんなことからその能力を買われハッカー集団CLAY(Clown’s Laughing At You)にスカウトされる。ちょっと厨二病ぽいチーム名も好き。
アングラ?ダークウェブ?違いがよく分からないけどそういうネット上の裏の世界を地下鉄の車内に見立てている演出がユニークだ。ハッキング攻撃だと、やっていることは大胆でも絵面的にはPCに向かってカタカタするだけなので画面が地味になりがち。その問題を上手く打開してきた演出はあっぱれだ。覆面を被った人たちが地下鉄に乗って会話をするシーンが頻繁に出てくるが、実際はネット上でチャットしている。
ベンヤミンを含むCLAYの4人は始めこそ製薬会社や金融機関にハッキングしてからかっていたが、MRXという天才ハッカーに認められたくて徐々に大胆に活動するようになる。国家機関やユーロポール(欧州警察機関)への侵入にも成功するが、MRXとの駆け引きに失敗しついに窮地に追い込まれてしまう。ベンヤミン以外のメンバーは無惨にも殺害され、一人残されたベンヤミンは警察に自首する。MRXら他のハッカーたちの情報を渡す代わりに、証人として公的な保護を受けようと試みたのだ。
残念ながらこれ以上は語れない。
語りたいけど語れない(泣
この映画は全てが最後のオチのための前振りみたいな感じなので、正直ストーリー上の詰めの甘さはたくさんある。
①公的機関のセキュリティーはガバガバだし、追いかける警察も銃を構えながら走ってくるだけ。いくら何でも無能すぎる。
②ベンヤミン以外のCLAYのメンバーは特に深掘りされないのでバックグラウンドがよく分からないまま進行し、ずーっとオマケって感じが拭えない。
③ベンヤミンが密かに想いをよせるマリという女子大生の存在理由が謎すぎる。途中からCLAYと一緒に行動するようになるが、彼女には特筆すべきハッキング能力はないのにどうして一緒にいられるのか。何の能力を買われたの?ベンヤミンとキスはしたが交際するという描写はないし。いつもマリと一緒にいて嫉妬心の強い男友達が出てくるが、別に何かの伏線ではなく結局何もなかったのもモヤモヤ。
とまぁ少々厳しいことを書いてしまったが、こんな細かいことはどうでも良くなるような展開が待っているので水に流そう。予告で”マインドファックムービー”というあまり聞いたことのない表現で賞賛されていた今作。Fワードをそんな簡単に使っちゃダメよ。最初からどんでん返しがあることを大々的に宣言しているため、視聴者も必死に推理しながら観る。でもぴたりと当てられる人は多くはないだろう。
映画には何よりもエンタメ性を求めるという方であれば、まさに期待通りの作品だと思う。鑑賞後の満足度(充足度)も非常に高い。少なくとも観て損をする映画ではないし、アマプラで見放題配信中なので気になった方は是非チェックしてみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。