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悪魔を見た(2010) やりすぎてちょっとだけ笑っちゃう映画。

 婚約者を惨殺されたスヒョン(イ・ビョンホン)が犯人のギョンチョルを地獄の果てまで追いかけ回す映画。今から14年も前にこんなに面白い映画作れる韓国はやっぱりすごいなぁ。

 ギョンチョルのヒールっぷりが素晴らしい。人間離れしたスヒョンの身体能力の高さと、なかなか死なないギョンチョルの驚異的な生命力はもはや笑えてくるレベル。

<あらすじ>

婚約者を何者かに惨殺された国家情報院の捜査官・スヒョン。独自に捜査を開始した彼は、ギョンチョルという中年男が犯人であることを突き止める。新たな犯行におよんでいた彼を襲撃したスヒョンは、昏倒させるとGPSカプセルを飲み込ませて立ち去ってしまう。

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<感想>

 婚約者の切断された頭部が発見されるという衝撃的な経験をしたスヒョンは「犯人絶対許さないマン」へと変貌。仕事なんかそっちのけで全身全霊で復讐することを誓う。「疑わしきは罰する」主義のスヒョンは怪しい奴を容赦なくボコしながらあっという間にギョンチョルに辿り着き、ボコボコにした後にカプセル型のGPSを飲み込ませて解放する。

 ギョンチョルの居場所を監視し続けるスヒョン。体内から声も拾うことができるため、ギョンチョルが新たに強姦殺人を犯そうとする度に颯爽と現れてボッコボコにする。全く懲りない性欲お化けギョンチョルも面白いし、犯人を懲らしめるためならどこにでも参上するスヒョンは途中から仮面ライダーか戦隊ヒーローのように見えてくる。「そこまでだ!」「貴様なぜここに…?」とは言わないけども。

 さすがに怪しんだギョンチョルはスヒョンの素性に気づき始める。GPSの存在を知り身体の外へと排出するシーンは閲覧注意。途中から登場するギョンチョルの犯罪仲間もかなり個性的なメンツだが、婚約者の殺害には直接的に関与していないにも関わらずスヒョンの怒りを買いこれまたボッコボコにされてしまう。

 スヒョンと対峙する度に手首を折られたりアキレス腱を切られたりと、かなりの大怪我をさせられるギョンチョル。頭を何度も殴打され血が吹き出してもケロッと復活する生命力は目を見張るものがある。ちなみにギョンチョルには同情できる背景などは一切なく、単に自分の性欲や殺人衝動を満たすためだけに女性を襲っている。このヒールっぷりが清々しくて良い。

 なかなか殺さずに泳がせるスヒョンのやり方にも問題がある。彼がとどめを刺さないせいで新たな被害者が量産されていくし(殺害する前に止めてるけど)、婚約者の家族にも被害が及んでしまう。終盤でギョンチョルがスヒョンの追手から逃れるため警察に自首しようと試みるのも秀逸なシナリオだと感じた。

 ラストのオチはあえて言及を避けるが、最後の最後までどっちが勝つのか分からない展開にはハラハラさせられる。いずれにせよ婚約者はもう亡くなっているため、復讐したところでスヒョンが得られるものは何もなく勝ち負けの話ではない。「目には目を」という報復には何の意味もなく誰も幸せにならないという事実は、現在進行形の戦争や紛争を見ても明白だ。だから私は死刑制度反対派です。

 2時間超えの尺が全く気にならないほどよく練られた脚本と軽快なテンポで展開する本作。重苦しい空気感を纏いながらも時々ふっと緊張が解けるようなシーンもあり、緩急のつけ方が素晴らしい。どんどんクセになる緊張と緩和。シンプルにストーリーが面白いので、グロ耐性がない方はそのシーンだけ目を覆ってでも鑑賞してほしいかな←

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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