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【811回】岡田憲治「教室を生きのびる政治学」

政治は手の届かない遠くにあるもの。

ずるく、誤りを認めず、自分の地位を保つために権力を駆使する大人たちが固まってコソコソと行うもの。
自分たちとは縁の遠いもの。

ではなかった。


政治とは、もう、僕たちは実践しているのだ。

中学生・高校生をターゲットにした、政治学入門。国会が、選挙が、と訴えるものではない。

今、教室を生き抜いている、まさに当事者たる生徒たちに向けて、政治がどう関係しているかを述べている。


立派な人間になる必要はあるのか?

友達は多いほうがいいのか?

政治の性質とはなにか?

校則。

合意。

多数決と民主主義の関係。

平等でないと困る理由。

自己責任の嘘。

苦しくても生きている子どもたちよ。
これから社会で生きていく子どもたちよ。
どうか、生き抜いて!
そのような願いが強く込められている本だ。

民主政治は、立派じゃない僕たちがやるのだから上手くいかないことが多いし、とても疲れて面倒だけど僕たちの安全ネットなのだ。

(p265)

政治は特別なことじゃない。
楽しく生きるための工夫だ。

(p285)

もしや、国会にいる一部の人達は政治をしていないのではないか。
国会にいる人達も、僕たちも、不完全な人間なのだ。
僕たちは僕たちの生活を守るために、政治をする。
国を守るためではない。僕たちが生きるために工夫したいだけなのだ。


生徒に読み聞かせたい本だなあ。


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