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【3/3】西九州新幹線と在来線広域間・空港連絡鉄道(東九州・九州横断新幹線ルート案考察から派生)

私の中での扱い上は「東九州・九州横断新幹線ルート案」に関する考えを述べる記事の延長線上に位置づけています。そのため記事タイトルに通し番号を書きました。新幹線整備計画(基本計画線という大雑把な計画のみ)を題材に九州内の個人的な新幹線路線案を描きましたが、関連して在来線網の再整備も必要だと考えました。

この記事では新幹線整備に関連する個人的な在来線整備案と、西九州新幹線(九州新幹線長崎ルート・西九州ルート)問題に関する私なりの考察について申し上げます。

新幹線整備と関連して新設されてほしい在来線について(西九州側)

まずは再度九州内の全体像から
(先行的投稿)東九州・九州横断新幹線ルート案全体像の記事から若干変更もあります

九州新幹線と在来線
九州内全体の新幹線や鉄道整備の理想像


今回採り上げるのは主に九州西側の地域です。少し拡大した図を↓

西九州新幹線と在来線の空港鉄道

少し手を抜いて地名や駅名の記載を省略してしまいました。お手数でも前回の記事なども参照していただけるとありがたいです。長崎空港に在来線乗り入れ、天草諸島や島内の天草空港や本渡港などを結びつける新規在来線路線網と既存路線網を活用した在来線による空港間連絡・広域間移動列車体系の構築をする個人的案を図面に描きました。

次に、長崎空港~天草諸島~阿久根・出水付近の詳細図です↓

長崎空港島原半島鉄道

単に鉄道路線を敷設するのではなく、船舶港や空港など異なる交通機関を結びつけ、その交通機関同士を連絡するような役目も担えることも念頭に置いた新規在来線鉄道路線新設案です。

「今更在来線鉄道を敷設するなど非現実的だろう」と鼻で笑い、果ては妄想だと括ってしまわれる人も多く居るかもしれないと想像しますし、それを覚悟の上で描いています。しかし、それでもこのような図を描いたのは、

鉄軌道は様々な公共交通同士を局所的範囲から広範囲まで幅広く紐付けることができるので公共交通機関全体の機能向上を図る可能性を秘めている

ということ、

そのため鉄道維持や整備への財源制度を確立する必要性を考えていただきたい

という想いを込めたためです。


では次の話題に移ります。

西九州新幹線(長崎新幹線・九州新幹線長崎ルート・九州新幹線西九州ルート)について

私が聞く限り、この問題の大きな要素は整備新幹線における政治行政の手順を飛ばしてフル規格ありきで物事を進めようとする姿勢だと思われます。佐賀県はそんな姿勢に対して異を唱えているようです。

こじれる長崎新幹線、実は佐賀県の“言い分”が正しい
杉山淳一の「週刊鉄道経済」2019年05月17日 07時00分

つまり、定められた手順をやり直す姿勢を取ることが急がば回れのことわざ通りそれが最も早い問題解決になるのでは。
また、私が覚えている限りの報道記事によると佐賀県知事は「ゼロベースから議論をするべき」「5択(これまで検討された整備方式)から検討し直すべき」という旨を発言なさったと聞いています。

再度各種整備方式
・リレー方式
・フリーゲージトレイン(FGT)
・ミニ新幹線方式(というよりも私は「在来線直通方式」と呼びたい)
・スーパー特急方式
・フル規格
全て再検討する必要があると思います。
この記事では、
今回投稿する2021年9月時点での私なりの考えを図面も交えて申し上げたいと思います。全ての整備方式について考えを申し上げます。

まずは地域全体を把握しよう

各整備方式への私個人の見解を申し上げる前に、現時点での長崎・佐賀県付近の路線図を掲載します。整備方式を検討するにあたっては路線や地域の地理的配置を把握する必要があると思うからです。
鉄道網はその地域その路線だけで考えるのではなく、より広く全国的に考える必要があります。鉄道網は接続しあって全体で価値を創り出すものだからですし、遠方間の移動には鉄道が威力を発揮しますので。
では画像を掲載します↓

西九州新幹線5択
長崎西九州新幹線ルート幅広い協議

画像は2枚になりましたが、それ故重複している部分があることにご注意を。ハウステンボスー嬉野温泉ー肥前鹿島ー大牟田付近

佐賀・長崎県付近の画像を掲載したところで、各種整備方式に関する考えを申し上げてまいります。

各整備方式の検討

 【リレー方式】

各種整備方式を再検討する、新幹線整備に関する政治行政の手順ややり取りをやり直す、新幹線整備事業への合意形成をやり直すという取り組みをする間の暫定的運営方法であることが望ましいです。
鉄道整備への公共投資も行わないと地域全体が衰退し続ける…。これまで散々申し上げた「地方同士間の(特に)経済交流」を促すには遠方間でも行き来しやすい鉄道網の再整備再構築が必要だからです。

※合意形成をつくりなおす方法は後ほど申し上げます。

 【フリーゲージトレイン(FGT)】

西九州新幹線(長崎ルート)_フリーゲージトレイン_FGT
西九州新幹線フリーゲージトレインに関する考察

図面で申し上げたとおりです。画像は拡大できるようですのでお手数でも拡大して見ていただけるとありがたいです。鉄道会社も運用する上での不安を感じているので、
この方式をいきなり新幹線で、しかも超高速・山陽新幹線直通など長距離で使うのは避けてほしいです。
図面で申し上げたとおり在来線同士で周遊列車的列車、新幹線ー在来線間でもたとえば「ななつ星」など周遊的列車、このような列車は車両数が少ないほか、もともと客単価も高く希少性もあるので当面の間はこのような場面こそフリーゲージトレインが適していると思います。
私自身は ななつ星 のような列車に乗ることはとてもできなさそうですが、周遊の過程で局所的ながらも新幹線区間も走行するとしたらとても面白そうだと想像しました。
(追記)
記事投稿後考え直しました。結論的に言うと、フリーゲージは
●在来線主体の中価格~高価格周遊的観光列車で私鉄等含む在来線同士間及び新幹線区間の局所的走行
(例えば東日本周遊列車四季島が、在来線が物理的にも途切れている軽井沢~群馬県区間を走行する際に新幹線区間を走行)
●在来線区間を主体に運行する広域的列車が局所的にフル規格新幹線区間を走行する
というように、「局所的に利用する」という使い方が現実的だと考えます。当初想定された 長崎県ー佐賀県ー九州・山陽新幹線新大阪 のような長距離超高速で、しかも日常的で多数の車両と列車便数。
このような使い方では費用・維持管理・安全の面で問題があること、そもそも交通インフラ投資をケチるためにひねり出された方法でもあることから、無限大的に使用する考え方は正直良くないと思います。

 【ミニ新幹線(というよりも在来線直通方式)】

西九州新幹線ミニ新幹線(というよりも在来線直通)に関する考察

図面にて申し上げたとおりです。現在の山形・秋田新幹線で使われている新幹線ー在来線直通車両は在来線規格の大きさです。
ですが、
私が想定しているのは、フル規格新幹線で使われる、在来線よりも大きな規格の車両を用いることです。そうすれば擬似的にもフル規格新幹線の路線網を広げることもできるし、在来線の片側を残すことで従来の狭軌在来線網も両立できる。線路設備の「建築限界」を「フル規格新幹線の中でも最も大きな車両」に合わせてほしい
個人的にはこの考え方による方式も良いと思う一方、長崎本線は現時点でも
博多ー佐賀駅ー肥前山口(江北)ー長崎
博多ー佐賀駅ー肥前山口(江北)ー佐世保・ハウステンボス
という2系統(もしくは3系統)の特急列車が走っています。長崎ー武雄温泉間が開業した後は上記のほか
博多ー佐賀駅ー江北ー肥前鹿島(新幹線開業を機に「肥前山口」から「江北」に駅名変更とのこと)
の特急運行系統も加わることになります。
在来線の片方をフル規格対応の線路に変更するとしたら、新幹線側の線路と在来線側の線路の両方で
・「新幹線車両による特急列車」(新幹線は全て「特急列車」扱い)

・「在来線車両による特急列車」
が重複する区間が生じる点を踏まえる必要はあるでしょう。

 【スーパー特急方式】

長崎西九州新幹線スーパー特急ルート
西九州新幹線スーパー特急に関する考察

スーパー特急方式というのは
使う線路は在来線と同じ狭軌、車両は在来線規格の大きさ、局所的にフル規格対応の構造物を造り、その区間は時速200km程度で運転して在来線とも直通する
というものだと聞いています。

スーパー特急に関する個人的な考えや案としては

1・佐賀駅ー久留米間に フル規格対応の構造物 を 複線以上対応で建設

2・片側の線路(つまり単線)に狭軌線路を敷設しその区間を暫定的に運行。

3・後の情勢で全線フル規格を造れる様になった場合は武雄温泉ー佐賀駅間もフル規格線路を造り全線フル規格にする。佐賀ー久留米間の線路は片側をフル規格新幹線、もう片側を在来線普通列車(≒各駅停車)用として継続活用でも良いし、狭軌線路を標準軌に造り変え複線フル規格新幹線専用として転用するのも良い

というものです。

「スーパー特急方式」と聞くと、武雄温泉以東の区間全てを現在の在来線で運行するものと思い込んでいないでしょうか。発想の転換になればと思い提言します。

 【フル規格】

西九州新幹線フル規格ルート
西九州新幹線フル規格新幹線整備に関する考察

政治行政の手順や手続き、合意形成が創られフル規格で整備すると決まった場合を想定しました。「ルート」、つまり駅の設置位置や線路の配置については「基本計画線」等で大まかに想定されたものにこだわらずどのような駅・線路の配置が望ましいかも一から考え直す、しかもそれを佐賀県など関係各者を交えて考え直す姿勢が必要でしょう。
その考えを踏まえ、2つの経路案を提案したのがこの図です。

特徴は
必ず肥前山口(江北)駅にも新幹線駅を設置(在来線の分岐点であるためここにも新幹線駅を設置し在来線も含めた鉄道網全体の利便性を高める。そして地元の方などからの反感を少しでも抑える)
●佐賀空港経由・佐賀駅経由ともに 久留米駅 で鹿児島ルート(九州新幹線)に合流する

ということです。分岐合流点は新鳥栖よりも久留米のほうが良いと思います。図面にも書いた通り、久大本線系統と合流でき福岡県南部・大分県方面にも新幹線開業効果が行き渡るからです。福岡県にも社会的利益が発生します。以上が各整備方式に関する私なりの考えでした。

個人的な理想像

西九州新幹線ルート案と個人的な理想像について申し上げさせてください↓

西九州新幹線佐賀空港ルート
西九州新幹線個人的理想像1(佐賀空港経由久留米合流)
長崎ルート佐賀空港駅
西九州新幹線個人的理想像2

新幹線だけでなく関連して整備すべきと考える在来線や在来線広域間・空港連絡列車運行系統例も描いています。
もし私の理想かそれに近い形の鉄道路線網が創られるとしたら、図面にもあるように肥前鹿島~嬉野温泉~大村線方面にも線路が敷設されます。この区間が出来ると(長崎県方面)ー肥前鹿島ー博多間の特急またはマリンライナー的な速達型快速列車の運行も行われやすくなり、新幹線駅は設置されない肥前鹿島地域の利便性低下をかなり抑えられるようになると期待します。

出来れば新幹線新規建設に伴い鉄道網全体の接続機能向上を高めるための在来線新設も図れる社会制度であってほしいし、そういう方向性からの「反対運動」になれば良かった…(←語弊の恐れもある表現をお詫びします)

合意形成を創るために、そして…

西九州新幹線への合意形成を創るために必要なこと、新幹線問題の有無に関わらず取り組まれてほしいことについて申し上げます。

西九州新幹線(九州新幹線西九州ルート・長崎ルート)では対立や関係者や住民の方が感情的になるなど、遠くから見てもむなしいことも起きています。
そういう問題を起こさない、あるいは最小限にするにはどうすればよいか、私なりにずっと考え続けてきました。この記事が火に油を注ぐようなことにならないよう物の言い方には充分注意したつもりですがそれでも心配です。

せっかくの新幹線整備なのに反対・いらない要らない・不要 など不毛な否定論が出る大きな理由は

●新幹線駅の有無による地域内格差
●特急は停まっていたが新幹線駅は設置されないことによる地域内格差
●新幹線によって在来線がJRの運営でなくなる(並行在来線経営分離など)事による不便さ

この3つだと考えます。
言い換えると、新幹線整備に伴うこれらの問題を発生させない、あるいはその影響を最小限にする方法を考え実行すれば新幹線整備による地域内格差・対立という副作用を抑えることができるのです。

どのようにしてその副作用を抑えるか、そのために現在の鉄道や路線バスなどに乗車し、
「このようにすれば交通機関全体が改善され在来線も維持でき便利になるかもしれない」
という観点を探ることが必要
ではありませんか。

個人的には
在来線駅の新設やより適した場所への移設

新幹線ー在来線間
在来線内の特急等ー普通快速列車間
在来線ー路線バス間
での緩急接続(遠近分離)

長期間掛け駅周辺に生活や仕事で必要な施設を集め、自家用車を保有できなくても生活できるような都市政策

このようなことも併せて模索すると在来線と地域の維持にもつながると考えています。

これは、新幹線問題の有無に関わらず、そして新幹線整備の是非に関わらず(特に在来線やその地域を心配して新幹線に否定的になる方)
路線乗車するなどして公共交通網の維持活性化活用策を模索し改善策を提言していくようになることを望みます。

この姿勢を
特に新幹線を誘致したい(前向きな方)が率先して行なうと新幹線整備への合意形成も創られていくでしょう。他のお仕事などで時間的にもお忙しかったり、そしてこの記事を書いた2021年9月下旬時点ではコロナウイルス騒ぎの最中であったりしますので不自由な面もあるでしょう。
それでも時間や予算・時機(タイミング)を見つけ次第路線乗車してみてほしいです。
なお、
特に 政治家 や 公務員 の立場に居る方は政治事務所や行政組織からの「経費」などではなくご自身の給与などから自腹で交通費旅費を出してほしいです。これはあくまでも極めて不毛な政治的攻撃(政治資金が云々)を避け、政策議論に集中するための観点です。

いつまでも「森と●・かけ・さ●ら…」とかで敵対視する政治勢力を追い詰めるようとするレベルの政治争いは見ていられません。

政策議論でより良い政策を模索し、それで支持を勝ち取って欲しいのに…。特に政治の場で喧嘩が起きてしまうとしても、政策のあり方を巡る場面であってほしい。もちろん、お金の使い方に関してはカタカナ語で言う「リテラシー」を政治家から一般人までしっかりと身に付けたいものです。
稼ぐ人はなぜ、長財布を使うのか という本が流行りました。長財布を使うことよりも、金銭管理やお金への意識や見識を高める必要性を説いている内容が重要だと思いました。「喜んで税金を払う」のも良いらしいです。詳細は読んでみて。

おわりに

東九州・九州横断新幹線ルート案とそこから派生した九州内の新幹線と在来線の整備案の説明を終わります。

次は北海道鉄道網の再整備を採り上げたいです。

もしよろしければサポートおねがいします。このnoteでは提案型の意見投稿になるよう努めて参ります。