【暫定今年一番面白かった】双頭の悪魔の感想

去年くらいに初めて十角館を読み、例の衝撃を受けて以来ミステリを読み漁るようになった。

その後に占星術で脳を揺さぶられてからは、物理・叙述を問わず、トリック重視の読者となっていた私を、ロジック重視派閥へと引き入れるきっかけとなった作品がこれだ。

本作の最大の特徴はなんと言っても、作中に合計で三回も挟まれる「読者への挑戦」である。
冷静に情報を処理し、演繹的思考を用いることで特定の人物を犯人として指摘することが可能。しかもそれが三回。3倍面白いのは自明である。

館シリーズのような大胆なトリックがあるわけではないが、とにかく犯人特定に至るロジックが素晴らしい。
そしてそのロジックを構成する手がかりについても、嫌がらせのような誤魔化しの記述は無く、その全てが「そういえばこんなことあったな」と思い出せる内容だったので、とにかく納得感が強い。

有栖川有栖の著作自体が初めてだったが、同シリーズの他の作品も読んでみたいと思わせる傑作だった。

しかし、まずは手元に届いた「カーニバル」の文庫版五冊を処理しなければならない……

https://www.amazon.co.jp/双頭の悪魔-創元推理文庫-有栖川-有栖/dp/4488414036

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