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我が家の食卓Tier表〜2024年秋環境〜

今期は令和の米騒動によって店頭から一時期白米が消失するなど、環境は大いに荒れた。特に前期までの上位帯は半分以上が評価が下落し、新たな顔ぶれが食卓を席巻している。 それでは、いつも通り食材・デッキ(料理)の順で評価を確認していこう。 食材Tier1ナス:前期ランク外 今期最大の注目株。前環境までは食卓に登ることはおろか、今期の序盤に気まぐれで買うまでは食料品売り場で見向きもされない程度の存在であった。 しかしながら、ナスをメインとしたおかずの素デッキは大半がナスだけあれば

    • 過客の如き旅行くもの:序

      徐々に日の出が遅くなり、未だ空がほんのりと薄暗い秋の夜明け。 顔を洗い、コンタクトを入れると世界の輪郭がはっきりとしてくる。そのまま支度を済ませて荷物と共に玄関を出ると、外はすっかり朝の装いへと変化していた。時刻は六時過ぎ。 8時11分発の新幹線に乗るため、最寄駅へと歩みを進める。今日から二泊三日で金沢へ行く。 10月も下旬に差し掛かろうとしていたが、幸いにもこの三日は気温が温暖らしいので、天気予報に全てを委ねて上着は置いてきた。おかげで少し身軽だ。 東京駅へと向かう電車

      • 第一回最近読んだ本たちをまとめて語る会

        タイトルの通りだ。 もはや一作品ずつちゃんとした感想を書くのが面倒になってしまった。 そこで私は妙案を思いついたわけだ。 ーーー短い感想をまとめて記事にしてしまえば良いのではないか?ーーー ということで、ここからそれぞれの作品の感想とちょっとした紹介だ。 ディスコ探偵水曜日:舞城王太郎「第五の奇書」とも称される本作。 以前から気になってはいたものの、中々タイミングが掴めずに泣く泣くスルーしていたところ、メルカリで運良く4500円で手に入ったので遂に読む事が出来た。作品の

        • 【示門黒ちゃんを愛せよ】『黒と愛』『鏡陥穽』【鏡が怖くなる】

          堕天使拷問刑をきっかけに、飛鳥部作品に最近かなりハマっている。 陰鬱とした雰囲気や怪奇趣味に対して、流れるような読みやすい文体がとにかく良い。 そんなわけで当然『黒と愛』と『鏡陥穽』も読んだわけだが、やはりこの独特の”癖”がクセになる。 内容は完全にエログロスプラッタなのに、ただの悪趣味な小説とは一線を画した不思議な魅力がある。 伊藤潤二が好きなら間違いなくハマるだろう。 特に鏡陥穽の方は凄まじい。あれは間違いなく「映ったものをコピーする鏡」の最悪な使い方だ。 ラ

          物々しいタイトルに対して読後感が爽やかな青春小説『堕天使拷問刑』

          とりあえずいきなり感想を語ると、この本メチャクチャ面白かったので軽率にオススメしていきたい。価格に目を瞑りながら 『堕天使拷問刑』は、一部界隈でカルト的な人気を誇り、主に入手性の観点で難易度の高いミステリ小説として有名である。 幸いにも、2023年の復刊企画のおかげで現在は中古価格の相場もかなり下がったが、以前として流通量は少ない。 私はメルカリで同時に復刊された他2冊と合わせて10000円で購入したが、正直なところ値段分の価値は十分にあったと言える。 ざっくりとしたあ

          物々しいタイトルに対して読後感が爽やかな青春小説『堕天使拷問刑』

          『ジェリーフィッシュは凍らない』

          ミステリのレジェンド『そして誰もいなくなった』『十角館の殺人』の系譜の作品は数多くあるが、中でも近年で特に高い評価を得ているのは『ジェリーフィッシュは凍らない』ではないだろうか。 この題材はもう食傷気味というか、タネやオチが半分見えていることもあり、中々本書に食指が動かなかった。 しかし、たまには趣向を変えて新しめの作品も読んでみようということで、職場近くの書店で手に取り、つい先日読み終えたのだが、はっきり言って超傑作だった。 事件の犯人そのものに関しては特に驚くほどの

          『ジェリーフィッシュは凍らない』

          『双子連続消去事件』の真相について考えよう

          『彩紋家事件』をメルカリで購入し、つい先日読了した。 これにより、トリビュート以外の既刊のJDCシリーズは全て読んだことになり、残すはもはや幻の作品となりつつある『双子連続消去事件』だけだ。 しかしながら、『彩紋家事件』の刊行は2004年ということで、すでに二十年もの歳月が経過してしまった。 それどころか著者の清涼院流水御大は近年は英語学習とビジネス書業界にどっぷりと浸かっている。 『双子連続消去事件』が世間の目を浴びる希望は絶望的に儚い。 それならば、もはや我々が自分た

          『双子連続消去事件』の真相について考えよう

          『カーニバル』を読もう!

          清涼院流水といえば『コズミック』および『ジョーカー』のあまりのオチの内容に、手元の本を思わず壁に投げつけたとのことで「壁本」という新たなジャンルを切り拓いた偉人である。 そして『カーニバル』はそんな上記二作の待望の続編なのだが、大半の読者が密室卿と芸術家の正体に愛想をつかしたのか、ネット上でも感想の声は極端に少ない。 そもそも読んだ人間の絶対数が少ないのだろう。 しかし、敢えて私は言いたい。 本当にヤバいのは『コズミック』よりも『カーニバル』の方であると だが残念なが

          『カーニバル』を読もう!

          【これこそあるべき実写化の姿】実写版『十角館の殺人』

          角島へいらっしゃった皆さん、ご機嫌よう。 先日ついに配信が開始された、実写版『十角館の殺人』はすでにご覧になっただろうか? 原作の知名度は高いが、再現が難しいという事情から何十年も映像化を見送られ続けてきた本作が、満を持して実写ドラマ化するという事で一時期話題になったのは記憶に新しい。 実際に私も「あそことかどう再現するつもりなんだ?」と色々と適当な予想を並べ立てたりもした。 前回記事※ネタバレ注意! 今回は、その予想も踏まえた上でつらつらと感想を綴っていこうと思う。

          【これこそあるべき実写化の姿】実写版『十角館の殺人』

          【月光ゲーム】感想と推理供養

          有栖川有栖のデビュー作である月光ゲームを読みました。 同著者の作品は、双頭の悪魔だけ読んだことがありましたが、トリックの奇抜さや意外な真相よりも、論理的な解決に重点を置いたクイーンリスペクトの作風が個人的に好みだったので、本作も期待を込めて手に取りました。 読んだ感想としては、期待通りに読みたいものが読めたという感じです。 ただ、正直なところ双頭の悪魔には及ばないなとも思いました。(まあデビュー作と代表作の比較なので仕方がないですが) とはいえ、殺害現場周辺の些細な違

          【月光ゲーム】感想と推理供養

          第一回十角館の殺人の実写化方法予想会

          2023年末、日本を震撼させる衝撃の情報が発表された。 まさかの十角館が実写化するとのことだ。 「映像化不可能」とされてきた小説が実写映画として公開された例は実は結構ある。 ※イニシエーションラブとかハサミ男とか だが、その中でもある種の聖域と化していた十角館の殺人が満を辞して映像化とは、なんと感慨深いことだろうか。 とはいえ、このご時世に『実写化』というワードはどうしても身構えてしまう。前科が多すぎるせいだ。キャストが例のあの人とかだったらもう、ね…… キャストが

          第一回十角館の殺人の実写化方法予想会

          鬱映画の金字塔「ウィッシュ」

          世間では100周年記念アニメーションのおまけの90分扱いでお馴染みのウィッシュを、年も明けたということで映画館で見てきた。 ネガティブな感想がやたらと目立っており、私としてはもはやクソ映画を見に行く気持ちで映画館へと足を運んだわけだが、正直そこまで悪くなかった。むしろかなり良かった。 家族を失うという辛い過去さえ糧にして、血の滲むような努力の果てに身に付けた力でたった一代で多くの民に囲まれた豊かな国を建国した王が、偶然自分と同等の力を手にした女によるクーデターをきっかけに

          鬱映画の金字塔「ウィッシュ」

          そろそろ2023年に読んだ本でランキングつけようか

          2023年も最早虫の息だ。 この時期にやることといえば、『今年の○○ランキング』以外ないだろう。 レコード大賞しかり、流行語大賞しかり、この一年を振り返っていくという意味でもランキング付けは欠かせない。 そこで私は「今年って何やったっけな」と思いを巡らせた結果、割と本読んだなと思ったので、ここに今年の名著ベスト10を発表しようと思う。 あらかじめ言っておくと、今年刊行された本はほぼ読んでない。 というのも、私がちゃんと本を読みはじめたのがまさに今年からだからだ。 そのため

          そろそろ2023年に読んだ本でランキングつけようか

          Aqoursのオススメ楽曲で打線

          異次元フェスを間近に控えor経て、初めてAqoursに触れる方もいるでしょう。(いてほしい) そこで、今回は私の独断と偏見でAqoursのオススメの曲を打線形式で紹介しますので「曲がいっぱいあるんだけど何聞けばいい?」という方は参考にしてみてください。 このような紹介の場合ランキング形式が一般的ではありますが、数字による優劣をあまりつけたくないのと、そもそも自分の中で順位が明確に定まっていないので、あえて打線という形式をとらせていただきます。 「それなら箇条書きにおすす

          Aqoursのオススメ楽曲で打線

          2023年も終わりそうなので「コズミック・ジョーカー」を評価したい

          私がミステリーを読み始めてからそろそろ一年くらいだろうか。 基本的に電車での移動中にしか本を読まないので読書量が少なく、現時点では有名作品でも未読のものが多い。クリスティは「アクロイド」と「そして誰もいなくなった」の二作しか手をつけていないし、三大奇書についても「黒死館殺人事件」は未通過だ。 そのため、識者からは「もっと他に読むべき作品があるだろう」とお叱りを受けてしまうかもしれないが、幼少期から邪道を歩む陰のサブカルオタクとしては、この作品は避けては通れないイニシエーショ

          2023年も終わりそうなので「コズミック・ジョーカー」を評価したい

          映画「都会のトム&ソーヤ」の文句が言いたい

          「実写化決定!」が原作ファンにとって死刑宣告も同然と認識されるのはもはや珍しいことではない。 その最たる原因の一つは、漫画の中の非現実的な世界を実写で再現するのが非常に困難だからだろう。 したがって、原作があまりにもファンタジーすぎなければ実写化でも大丈夫だろう、そう高を括っていた私の脳天に一撃を喰らわせたのが「都会のトム&ソーヤ」だ。 結論から言って、シンプルに面白くなかったので、上映時間の90分ちょいで代わりに原作を読むべきだ。 個人的に納得がいかなかった点として

          映画「都会のトム&ソーヤ」の文句が言いたい