遠方よりレストランを望む
パンフレットに《十九世紀の要塞》という記述があるいじょう、どこか近くに《レストラン》もあるはずだなんて考えながら
扉ごとに色のちがう表札に気をとられていたし
馬車とすれちがい、馬車においぬかれ
どの交差点までもおなじくらいの距離がのこった
郊外からは不燃物が集まり、野球場ではちょうど好機に代打が起用されていた
《木星は環のない土星》、そういう名のカフェを出てぼんやりするとそこが湾岸通りである
ひと種類の番地しか持たず、標識もなければめじるしもない
どこに行ったとしてもきっと