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特別の日なんていらない 映画「最後の乗客」
この映画は、監督・堀江貴さんと、ニューヨークにいた時にご近所づきあいをしていたこんぶさんからご紹介頂いた。
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横浜の猥雑な街中にある、ミニシアター「ジャック&ベティ」
ここがかの有名な「ジャック&ベティ」ね。それにしても周りのいかがわしいお店の雰囲気が、この映画館の存在に華を添えてるわ( *´艸`)。
私の出身地は福島県の浜通り地方。東京電力の福島原発は小学生当時、見学に行った場所。
2011年3月11日、あの日、私は東京都で働いていて、神奈川県に住んでいた。私の親族は、福島原発の水素爆発を契機に一時我が家に避難してきたが、1か月後には全員帰っていった。
あの当時から、あの地方出身なだけである私は、あの震災を語る資格がないと思っているし、あの震災によって引き起こされた全ての行い、特によくない行いを語り、又は非難する資格を持っていない、と思っている。
その話を聞いた瞬間、それまで「震災を忘れない!」と募金活動などで先頭を切って大声で叫んでいた自分が急に恥ずかしくなった。故郷のために、と思って大きな声をあげるほど、逆に人を傷つけていたのかもしれない、ということに気が付いたからだ。 それが「みずき」との出会いだった。
そしてこれが、震災を体験していない僕だからこそ描けるテーマだと感じた瞬間だった。
監督・堀江貴氏メッセージ
東日本大震災がテーマの映画なので、登場人物には「幽霊」が登場するだろうと思っていた。
主人公「みずき」が度々口にする「そんなこともうどうでもいい」の真の意味が、胸をつく。
特別な日はいらない。
「いってきます」と朝、家を出て行った家族が、「ただいま」と家に帰ってくる、「確かな」一日、一日の積み重ねだけでいい。
特別な日は、その人がどんなに頑張っても永遠になくならない。
私はかける言葉も、差し伸べる手の出し方も死ぬまで分からないだろう。
態度も方法も分からぬ、私の祈りのような気持ちを、作家の伊坂幸太郎が「死神の浮力」で表現していた。
先週から、千葉さんと過ごす僕たちは、この一年では考えられないほど、何度も笑っている。千葉さんにそのような思惑は微塵もないのだろうが、無愛想で生真面目な千葉さんの言動が、僕たちを沈み切っていた沼から何度か引き揚げてくれている。
過去のやり切れない悲劇や、先の見えぬ未来のことを考えることなく、僕たちは一日一日を摘んでいた。
こんぶさん、この映画紹介して下さって、ありがとう。