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【美術展】癒しの日本美術@山種美術館
もしかしたら、一番訪れている回数が多いかもしれない美術館。
毎週水曜は学芸員によるギャラリートークがあり、ここへ行くときは必ず水曜にしている。ギャラリートークを聞くのは今回で2回目なのだが、言われなければ気付かなかった気付きがたくさんあり、今回もためになったし楽しかった。
「お福図」伊藤若冲(18世紀)個人蔵
口元に手を当ててニッコリ笑う顔が愛らしい。『もしかしたら男性!?』の説明に、エッ、そうなんですか?とあらためて目を凝らす。
「鶏図」伊藤若冲(18世紀)個人蔵
フライヤーには若冲による別の鶏図がある。「鶏図」の方は目が特徴的で見ているとまるでにらめっこでもしているよう( *´艸`)。
「七福神図」長沢芦雪(18世紀)個人蔵
ほのぼのした遊び心が満載。神様、寝てるし、大酒くらってるしで、いい感じにゆるい。『タコが描かれています』、と言われ、あっ、ほんとだ~。
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「獅子の子落とし図」長沢芦雪(18世紀)個人蔵
親の獅子、猛々しいことは猛々しいのだが、猛々しいだけじゃなくカッコいい。これぞ猛獣。そしてその子が小さくてモフモフふわっとしていて親との対比がいい。
「菊花子犬図」長沢芦雪(18世紀)個人蔵
子犬の表情もさることながら、後ろ姿の尻尾やお尻も可愛い。
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「肖像画 小川芋銭」山口晃(2013年)個人蔵
小川芋銭は河童の絵をたくさん描いた方で、山口晃作の肖像画では河童が寄り添うように描かれている。河童がそっと手を添える姿、奥様と思しきふくよかな女性、小川芋銭の仙人のような姿、何もかもが優しい雰囲気。
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「本島の春」小笠原元(1991年)山種美術館蔵
春という作品名にふさわしい清く暖かく美しい色使い。『お気付きになります?猫がいます』、の説明に、あっ、ほんと~。
「月の音」林功(1975年)山種美術館蔵
できることなら、「菊花子犬図」ではなくこれを撮影可、にして欲しかったと思う1枚。この展覧会に行かれた方の感想でもこの「月の音」がよかった、との感想が多かった。椿はまだ寒さ厳しい今頃から咲き始める。開花したと思ったら、まるでそのコントラストを楽しむかのように雪が降る日がある。そんな情景とともに、氷のように冷たそうな月が小道の奥に配置されている。なんと美しい絵だろう。リトグラフにして売ってくれないかしら。
「清韻」佐藤太清(1947年)山種美術館蔵
これはググると画像が見られるので、是非、興味がわいたらググって頂きたい1枚。鮮やかな色彩に蝶々が舞う。蝶々の黒が画を引き締める。
「光」千住博(1989年)山種美術館蔵
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画像は「Living 東京」からお借りした。
この画像では「金色」は「金色」にしか見えないが、この画では金に「銀」を混ぜているそうで、実物は深みというか暗みを含んだ得も言われぬ幽玄な雰囲気を漂わせる。そして、青。画に吸い込まれそうな力強さ。
「枇杷と少女」奥村土牛(1930年)山種美術館蔵
好きな画家の一人に奥村がいるが、その奥村による絵の中でも一番に好きなのがこの「枇杷と少女」。この絵を初めてみた時、私自身の幼少期を思い出した。夏の日、庭になる「枇杷」を食べる。枇杷は買って食べるものではなく、我が家の庭に「なる」ものを食する果物だった。
この絵に描かれているのは少女期の私。
これもリトグラフで売って欲しい1枚。
想像以上に大満足だった美術展。そして今回は「Cafe 椿」で「和菓子 お抹茶セット」1,350円(税込)を頂く。
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山種美術館へ行ったら私的には「奥村」は必須の画家だが、今回は他に「小笠原元」、「佐藤太清」、「林功」を知ることが出来たのは望外の喜び。
実物の放つ圧倒的な存在感を楽しんだ。