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【美術展】「東海道五十三次」で旅気分ー富士に琳派に若冲もー/岡田美術館(神奈川県箱根町)

「源氏物語」の屏風がメインターゲットで、琳派や若冲も楽しめる、ぼんやり、一度行きたいな、と思っていた岡田美術館。MOA美術館に今秋、絶対行くので、ちょっと足を向ければ一緒に行ける!ということで、行ってきた。

2024年11月14日(木)

観光地・箱根とは言え、MOA美術館で展開されているような超目玉な企画展ではないので、空いているだろうとふんでいった。想像通り、気持ちよく鑑賞できた。
1階から丁寧に見て行ったら、一番見たかった4階の「源氏物語図屏風」へ行きついたころはお疲れモード( ;∀;)。反省。
岡田美術館は、この前日に行ったMOA美術館とは真逆の、展示品の撮影がNG。1,2点でもいいから撮影可、だったら嬉しいな。
それと、大事なことを。私の今回の記事ではこの特別展「東海道五十三次」に関することは全く触れておりません( ;∀;)。タイトルに偽りアリ、状態です(;^ω^)。


1階 日本・中国・韓国 工芸の名品

★「青磁せいじ象嵌ぞうがん菊花文へい」高麗時代 12世紀

胴の部分に描かれている一輪の菊花。キャプションには余白を活かした文様構成、とあった。余白を愛するのは日本人だけでなかったのね。

★「桃花とうか紅瓶こうへい景徳鎮窯けいとくちんよう清時代 康煕こうき年間(1662~1722)

淡い紅色の小さな瓶。所々に苔のような緑色の斑文はんもん


★「白磁刻花こっか牡丹文輪花鉢りんかばち定窯ていよう 北宋時代 11世紀

器そのものが牡丹の形をしている。牙白色げはくしょくの肌。牙白色だなんて、その言葉だけでもなんだか美しい。華奢で可憐でとても美しい透き通るような白だった。


1階 古代の明器

★「加彩楽舞俑かさいがくぶよう」唐時代 7~8世紀

座って演奏する10体の楽人がくじんと、立って舞う2体の舞人まいびと。元は、日本画家の安田靫彦ゆきひこが愛蔵。
ものすご~く楽しげで愛らしかった。

1階 宋・元・明の景徳鎮官窯かんよう

★「青花せいか蓮池れんち水禽文盤すいきんもんばん」景徳鎮窯

つがいの水鳥。 日本画家山口蓬春ほうしゅんが所蔵した作品で、蓬春最後の完成作「静物」に、赤と青のリンゴを盛って描かれている、とのこと。いつかこの蓬春の作品を見てみたいな。

★「白磁暗花束蓮文あんかそくれんもん盤」景徳鎮窯 明時代 宣徳年間

一見、何も描かれていない皿のようだが、うわぐすりの下にかすかに蓮の花束の文様が。温かみのある白色だった。


1階 清の景徳鎮官窯

★「黄釉碗おうゆうわん」景徳鎮窯 清時代 雍正年間

黄釉は皇帝を示す色。レモン色の小さいお椀なのだが、それはそれは美しいレモン色だった。

2階 仁清と乾山

★重要文化財「色絵竜田川文いろえたつたがわもん透彫反鉢すかしぼりそりばち」尾形乾山けんざん 江戸時代 18世紀

尾形乾山は、尾形光琳の弟で、野々村仁清にんせいに学んで陶工となった人。
この反鉢の存在は知っていたが、実物を見るのは初めて。実物のもつ質感や美しさに圧倒された。これだから美術館通いがやめられない。

廊下に、豆知識のパネルが展示されていて、焼き物の名称の付け方を学習。たとえば、この器だと、
「色絵」が技法
「竜田川文」が文様
「透彫反鉢」が器形
とのこと。へぇ~、である。

乾山の透彫反鉢はもう一つ展示されていた。

★「色絵菊文いろえきくもん透彫反鉢すかしぼりそりばち」尾形乾山けんざん

色絵菊文いろえきくもん透彫反鉢すかしぼりそりばち」尾形乾山けんざん 江戸時代 18世紀
https://abc0120.net/2022/08/05/38738/

竜田川文より使っている色が少ないのだが、それゆえかより清楚な可憐な感じがした。


★重要文化財「色絵輪宝羯磨文りんぼうかつまもん香炉」野々村仁清にんせい 1657(明暦3)年・江戸時代

密教法具である輪宝りんぽう羯磨かつまが描かれている香炉。


★「銹絵雁さびえかり香合」野々村仁清 

銹絵雁さびえかり香合」野々村仁清 17世紀・江戸時代
https://serai.jp/hobby/291124

白の美しさ、表情の可愛らしさ。ノックアウトされた。


4階 源氏物語の世界

★「浮舟図屏風」長谷川派 16~17世紀・桃山時代

第51帖「浮舟」の場面。匂宮(光源氏の孫)が浮舟を小舟に乗せ、宇治川に漕ぎ出し、対岸の家に連れ出してしまう。
何かの折に写真で目にしていた1曲。あぁ、ここに所蔵されているのね、と感慨深い。

★「源氏物語手箱てばこ」17世紀初頭・桃山~江戸時代

側面に「澪標」「若菜上」「若菜下」「野分」の4場面が描かれている。実物はもっと煌びやかに見える。
https://artexhibition.jp/topics/news/20240527-AEJ2083651/


★「美人に犬図」勝川春章しゅんしょう 18世紀後半・江戸時代中期

第34帖「若菜上」で超重要なヒロイン・女三宮とくれば、動物は猫だが、この掛け軸では、犬。動物は猫が犬に変わろうが、その動物は美人の足元にいる、という構図だけは変わらない。

4階 静岡22宿

★「雨中芍薬図」鈴木其一 19世紀頃・江戸時代後期

フライヤーから

日本画を見に行く機会が増え、目にすることが多くなった「鈴木其一」。師匠の酒井抱一とのコラボなど、本当に美しい作品が多くて、それと期待せず行った先で出会う作品の美しさに、それを美しいと思える自分が嬉しい。

【ランチ】

美術館併設の「開化亭」で、

「牛ごぼううどん」1,700円(税込)

待つことなく、すぐに席に案内された。席から見えるお庭の緑と静かな空間を堪能。
このレストランは美術館のチケットがなくともレストランだけで、利用できる。

入館料は割引を利用して200円引きで2,600円。私にとっては開館と同時に入って、閉館までいることが出来るくらい、収蔵作品、施設とも素晴らしかったが、観光地にあるだけあって、時折、団体客が凄い勢いで入ってきて、アッという間に駆け抜けていく、という場に何度も出くわした。その方々からすると、滞在時間1,2時間(あったかな、もっと少ない団体もあったんじゃ?)で2,600円は決して安くはないだろう。

「菊花屏風」尾形光琳

こんなにたくさんもの素晴らしい作品をお持ちなんだから、「絵」というか「写真」としての露出をもっと増やすと、もっとにぎわうんじゃないだろうか。私としては、この空き具合はとても有難かったので、人が増えては欲しくはないのだが。

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