褒めまくって肯定して抱いた育成の疑問
基本、Princeはポジティブ思考で、ダンサーキッズたちとは「楽しい」「できる」「できた」を共有することを大事にしている。すると、自由奔放すぎるほどにみんな伸び伸びとし出すようになって。すごくいいことだなーと思っていた。
現代においては周りも叱るより、褒めるを求める保護者の割合の方が多い。
自分たちも、社会人として過ごしながら「あー、こうやって自己肯定されたかったな」と思う節があったから、幼い子どもたちを基本は褒める、でずっと接した。
だけど、やがてあれ?と気づくことがあった。
今って超激動の時代。テクノロジーを知ってて当たり前、イノベーションが起こる。既存の価値観がすぐに壊れる。
結構大きなハードルが人の前に立ちはだかる。
そんな時代にこの子たちは試練に耐える力が養えているだろうか。
ダンスの現場であろうと、肯定ばかりで子どもと接していると、やがて子どもが「褒める」「承認」だけを求めて動くようになる。自尊心だけが巨大になり、時に勘違いを起こして他者への敬意「リスペクト」が全くわからない例が目につき始める。
そして試練にぶち当たると、すぐ萎える。
なんというか、自分の中から出てくるエネルギーで困難に立ち向かう力がない。そのエネルギーが内側にないのが見える。
理由は簡単。普段から外的要因にばかり依拠しちゃってるから。
あ、このままじゃやばい!
それからは“軽薄な褒め”はやめることにした。
みんなを平等に褒める、もある一定の段階まで。
競争原理も入れて、時には特別扱いのように見えることもあるかもしれないけど、しっかりと努力に応じて差を出す。
それを隣で見て「負けない」「自分もがんばれる」って思ってほしい。
自分の中で目標を決めてもらう。
一人ひとりが自分のアートをダンスで体現できる「オリジナリティと自由」の保障をして「称賛」するのと同時に、人間成長の観点で「レジリエンス」をどう養っていくのか。
未来を生きるメンバーたちが、この《変わりやすい》時代に、個性を活かして生きたいなら、逆境や環境に対して柔軟な力を発揮するしなやかさは必須。
それを伝えるために、時には心を鬼にして厳しく当たらないといけない時もあるけど、ポジティブさと厳しさを両立させながらプログラムは組むようにしている。
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