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壺型の土鍋でサーブするコシード

街歩きをしていたマドリード。
マラサーニャ地区、チュエカ地区(El barrio de Chueca y Malasaña)と訪れていた中で、もう一つ予定していた所へ。

同居人の付き添いを含めたマドリード一泊の街歩き旅行、折角なのでマドリードの郷土料理は食べておきたいところ。
予定を立てていた時、まだ食べていない郷土料理 "コシード マドリレーニョ"(Cocido madrireño マドリード風コシード)を食べておくかと、ゆっくりと落ち着いて食事できそうなお店を予約しておいた。
他にも有名なお店はあったが、この老舗のレストランに行っておきたいと思わされた。

1870年創業の老舗レストラン "ラ・ボラ(LA BOLA)"。
珍しい壺型の土鍋(プチェロ puchero)でサーブしている有名な老舗レストラン。
ラ  ボラでは、一人前の材料を土鍋(プチェロ puchero)に入れ、"炭火"にて煮込みながらスープを継ぎ足し、じっくりと煮込んでいく調理法で作られている。

その壺型の土鍋。


コシードはスペインの郷土料理であり、家庭でもよく作られるスペイン版ポトフのようなもの。
基本ベーススープと鶏肉、豚肉、牛肉、腸詰などの肉類とひよこ豆にジャガイモ、ニンジン、キャベツなどの野菜などが入った煮込み料理。
調べていた時に知ったのだが、スペインには地方によって異なるコシードがあるらしくアンダルシア地方、ガリシア地方などにもあると。

バレンシアにもPuchero(プチェロ)というコシードと似た煮込み料理があり、肉類にプラス、ペロタ(pelota)という肉団子が入る。野菜には人参や大根(アチラのカブ nabo blanco)など。
家庭料理になると中身など多少変わるとも思う。無いもんよりもあるもんで… 

この時は、食したのはこのお店の定番の"マドリード風 コシード"である。

ではお店の外観をちょっと。

やって来ました"ラ ボラ"(Taberna LA BOLA)、赤が素敵。
通りの角にあって、こんな感じ。
お店の外壁に飾られた素敵な絵。


お店の内観

店内の壁に飾られていたスポーツ選手や俳優、音楽家、作家、アーティストなどのたくさんの写真や絵が老舗を物語っていた。

サーブする人(カマレロ camarero)は渋いおじさん。ヨーロッパ辺りの老舗レストランなどは、長年サービスに従事している方が多い。一生その仕事をするのも普通だとよく聞いた。
とりあえずビールを頼み、食事はコシード マドリレーニョの一択で決めていた。
コシードのみでも食べ切れないことは予想していた。

オリーブの実(アセイトゥナ aceituna)を摘みつつ、ビールを飲んで待つ。

壁に飾られた数々の絵や写真など。
お席。
後ろのお席。
日本ではメニューというがスペインではカルタ(carta)という。
メニュー(menú)は日替わりという言葉で使われる。
スペインビール "mahou"
窓際席、カーテンも素敵やん。
何度も行ったり来たりしている人がいたので、思わずシャッターを切る。w


土鍋から注がれるスープ

まずは、渋いカマレロのサーブで、フィデオ (fideo)と呼ぶ細く短いパスタが入ったお皿に熱い土鍋の蓋を押さえつつスープを注いでくれる。

青唐辛子の酢漬け(ギンディージャ guindilla)小さい玉ねぎ(セボジータ cebollita)はスープと一緒に、トマトのソースは後でコシードのソースとして召し上がれ、と説明してくれた。

では、スープから。

来ました、アツアツの土鍋。
付け合わせ。青唐辛子の酢漬け&細い玉ねぎ&トマトソース。
まずはスープ。お皿入っているのはフィデオ (fideo)という細く短いパスタ。
熱い土鍋の蓋を押さえつつ、注がれたスープ。


スープの味は薄味気味、郷土料理の素朴さ、すっきりした味と感じた。
濃い味に慣れている人たちは薄いと思うかな? 神戸生まれで関西の出汁文化で育ったわたしは美味しく思えた。

まぁ、青唐辛子の酢漬けは辛くなくアクセントとなるが、玉ねぎは…辛かった。
もうちょい小さいセボジータの酢漬けは美味しいけどなぁ〜。

じっくり煮込まれた肉や豆

スープを食べ終えたら今度は土鍋の中の肉や野菜をお皿へサーブしてくれる。
通常のコシード マドリレーニョは最初にスープ、次に肉類、野菜、ひよこ豆をそれぞれ別のお皿に盛りサーブされたりするが、こちらでは一人分の土鍋で煮込んでいるので一皿にまとめて入れてくれる。

お肉と一緒にコロコロと出てくるひよこ豆たち、別で調理していたキャベツを添え物としてサーブしてくれた。
この角度しか写真を撮っていなくわかりづらいかな〜。鶏肉、豚肉、牛肉、骨付きハモン、トシーノ(豚の脂身)、チョリソ、ひよこ豆、ジャガイモが入っている。

サーブされた肉類、豆類などに別添えでキャベツ。
赤ワインと一緒に。


肉はじっくり煮込まれて柔らかい。これ… 肉類食べたら、結構お腹に来るで…
男のわいでもガルバンソス(ひよこ豆)、なんぼか残したで…
トシーノ(豚の脂身)はパンにのせて食べるとか。 背脂 on the パン…
少食の方や女性はちょっと食べ切れないだろう。コシード一択で正解だった。

家庭ではたくさん作ったコシードの残りの具材でコロッケ(Croquetas)を作ることもある聞いた。肉じゃがの残りで作るコロッケと一緒やん。

だんだんと増えるお客さん。
オーナー?
お腹いっぱい。 


少しぶらついた後に行ってみたマッシュルームで有名なバルは閉まっていた…
どうやら営業時間外… 平日は18時オープンだったようだ。

入り口横、マツツ…?ユ?ルーム… 惜しいカタカナがカワイイ。
スペイン語は一番上、チャンピニョン。
入り口 -Mesón del Champiñón-


スーパーの缶詰

スペインのスーパーにはスペインの代表的な豆、野菜、肉の煮込み料理の缶詰が売られている。

コシード以外の代表的な煮込み料理として、
Lentejas(レンテハス)レンズ豆の煮込み
Fabada(ファバダ・アストゥリアナ)白いんげん豆の煮込み
Callos(カジョス)モツの煮込み

わたしはファバダとカジョスが好きでよく買って食べていた。
カジョスはマドリードのカジョス ア ラ マドリレーニャもあるが、結構ポピュラーな料理で地方によって少しレシピが変わる。

大手スーパーConsum(コンスム)、 Mercadona(メルカドーナ)にもよく行った。 


最後に

わたしは革でモノを作るが、定番の商品は世の中にいくらでもあり、常に何かしら新しいアイデアは無いかと頭を悩ますことばかりである。
海外に居た時は、その土地の定番料理、郷土料理、現地での本当の味を食したいと思っていたが、日本に戻ると食べ慣れた定番料理から浮気するように料理人たちの工夫を凝らした創作料理などの新しい美味しさを求めたりする… 欲深い生き物。

ふと、子供の頃のよく行った近所のお好み焼き屋さんのことを思い出した。
行くたびにお店に置いてあった漫画の続きを読んでいた… 色んな漫画があったな。
定番だけど種類もあるからか? 関西人だからか? お好み焼きは飽きないな。
今は、すじ玉が食べたい… 生ビールと一緒に。




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