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過去のノートと経験記憶 "初めての手縫い革鞄作り" -First try-

手縫い革小物職人…"初めての手縫い革鞄"を作る。
革製品のモノづくり、小物職人、鞄職人、靴職人など主に作る分野が分かれている。色々作れる方もおられるけど、わたしは革小物ばかり。

ただ、ミシンで革鞄を作ったことがある… 過去のお話。

10月の中頃、いつも以上に散らかった部屋をお片付け中…
ふと目に入った"昔のノート"を開いた。
製作に関しての手順や図解、その他注意点など書いていたノート。
よく描き残しておいたなと…

昔のノート 3冊
手前はラフデザイン、各パーツサイズなどを書き込んでいたノート
奥は作業手順や製作ポイント図解含め書いていた復習用ノート


ミシン縫い革鞄教室 -Bag making class by sewing machine-

今から7年程前のこと…
手縫いはおろかミシンも鞄も"な〜んも知らない ずぶの素人"が、どなたでも革鞄作りを習える"ミシン縫いの革鞄教室"に通っていた。

マダム数人と一緒に週1回2時間(月4回)、各々作りたい鞄をテーマに、仕立てのコツを先生に教わりながら製作していく教室。

"何作ってるん? それ難しい? 上手く出来へん…"など、あーだこーだ…
たま〜に"見て、綺麗に出来た!!"など… 皆、楽しみながら。

基礎となる内縫い、外縫い、つまみ底、通しマチ、通し胴、玉縁ち、小判底、平手、丸手、etc…
各パターンの展開図、縫い代、距離計算など教わり、先生と答え合わせしながら自分で図面を描くようにしていた。

毎回新しいテーマを取り入れ、デザイン設計図面、型紙を起こし、半裁革と内袋に使う布などから各パーツ切り出し、部分漉き、組み立て、ミシン縫製など…

教わりながらの作業…いつも2時間あっという間だった。
慣れと共に"理解しているところは自宅で組み立てて良い"とお許しを得ていたものの、やはり経験の少ない素人… 設計から一つの鞄完成までに3〜4ヶ月かかったり。

メッセンジャーバッグ
先生のバッグを見本にわたし好みの角度やラインに変更したが
あちこちRや角度が違いイラレ図面&型紙を組んで距離計算した思い出…
ほぼ最終製作で作り、現在も使っている

いつか自分ひとりで作りたい思いで、製作過程をノートに書き残すことにしたが、文字の羅列だけでは作り方が解読できない事にすぐ気付く。(笑)

見直した際に理解出来る様、各作業毎にスマホで写真を撮りデータに残し、それを見ながらポイントを図解にして書き残す事にしたのだけど、絵心がある訳でもなく結構時間もかかり苦痛だったり…

そんな思い出がある昔のノート。

過去の復習用ノート
革の選定を間違えたリュック製作だった…
頑張って製作したが気に入ってなく放置して使ってない

ノートをめくり眺めていたら…
"手縫いでトライしてみようかな"という気持ちに。

過去学んだのはミシン縫いの製作方法、それも基礎的なこと…
一度切りの製作や製法も多い。 ただシンプルに作れば行けるかと?
学んだ事を思い出し、今の自分の考えを織り込めば行けるかなと。


最初の一歩 -First steps-

実用的ならトートバッグか…
兎に角シンプルに… ラフを描きデザインを煮詰め、イラレ図面でハンドルの形状サイズとバランス見つつ、他の作りも固めて行った。

過去鞄製作で使用した革を漁り、ある程度サイズが残っている国産革を3種類を使うことにして、小さなパーツで気になるポイント部分を製作。

小さなパーツでお試し
流石にお試ししないとゴミの山を築くことになる

"あーこうなるか"… ならばどうしようか? こうすれば良いか?など、幾つかの部分を試しながら手縫いでの仕上がりを確認、再度微調整も行った。

当初大きめサイズを考えていたが、普段使いを考慮してノートPC 14inchやA4ファイルがギリ収まるぐらいにサイズにした。
図面は少々描き直すことになったが、"最初の一歩"となる試作サイズとしても良いかと。

大まかな型紙を起こして革の上に並べてみた。上手く裁断すれば残り革で小さな鞄とかの試作も出来そう… まだひとつ目も作っとらんけど。


初めての総手縫いトートバッグ製作 -process of making 01-

"外縫い&内縫い、ハンドルは丸手、玉縁の小判底"で少々ラインデザインを取り入れた"横型トートバッグ"の製作。

革の裁断、細かな漉き作業を終え、持ち手と鞄オモテ側からの製作、2種類の革を使い仕立てて行く。

レーシングポニーに挟みにくい所、縫いにくい所が嫌やなぁ〜と…
革小物と異なり大きめのパーツ、手縫いする距離が長いと糸も長〜い。
"オレの両手はマシン"と思い込め…

長いパーツ革を確保
重要な持ち手&底の玉縁ち(パイピング芯使用)に使う
もう一つ幅広ピッチの目打ちで作りたかったが持っていない
サンタにお願いしようと思っている…
持ち手製作
目打ち後にちょっとミスに気づいた
片方のハンドル…意図した逆に曲げる事で皺が寄ってしまうが致し方なし
引き締めて縫い縫い…
個性的なレーシングポニーの使い方をしています(爆笑)
長めのチョップ
一度途中までカットして…さらに攻めた
コバ仕上げ
塗り→乾燥→磨き…を繰り返し
ハンドル根革部分を縫い縫い
計4箇所、結構な時間が掛かった…(泣)
何となく撮った糸
胴の革を継ぎはぎ
ちょっとしたラインデザイン
ツギハギブギウギ🎵
胴の両サイド 内縫い
革に話しかける…フニャフニャせんといて、縫いにくいから…
底の内縫いも終了
しっかり引き締め、ちょっと手が痛かった

この後、内外をぐるっとひっくり返すが、継ぎはぎスムース革に皺が入ったりするのよ… ちょっとした裏技もあるけど。


落とし込みの内袋製作-process of making 02-

ここからは鞄の内装、最終的に胴オモテのパーツの中にスポッと入れる"落とし込み内袋"の製作。
内装革はゴートレザーと一部スムースレザー、先ずは内袋のファスナーポケットパーツ製作から…

ファスナー引き手製作
なんかダンゴ鼻みたい…
ファスナー口周りの革
在庫のYKKファスナー "エバーブライト"
試作に高級ファスナー エクセラは使わない…が
上下止めだけエクセラ用(笑)
糸の巻き癖で縫いにくくイラっとしつつ…
この後四角の中の革を切り取り
ファスナーとウラにポケットとなる革を付けて縫う

他の作業などもちろんしているが…
基本目打ち&菱ギリで穴を開けて手縫っている、ずっと手縫っている… (笑) 
気分を変えるため2日ほど別の部屋へ移動。

1日目…晴れた朝の陽射し
日向ぼっこ製作
商品管理部長 兼 モデル
ファスナーポケットは手縫い済み
逆光
もうちょっと綺麗な写真が撮れた気がしたけど気のせいだった…
2日目… 火造りの菱目打ち
内縫いには相当長い間使っていなかった菱目打ちを使用した
もうちょい広いピッチが都合いい… 刃先が細けりゃもっといい…
少々サブで使用した菱ギリ
底を縫い終わり
残すは最後のひと作業、気ぃ抜いたらあかんで…
最終の手縫い
内袋をスポッと落とし込み、胴オモテと内袋の口元を縫い縫い
完成!!
喜びよりもホッとした…疲れた…


総手縫い 横型トートバッグ -Full hand sewn tote bag-

過去に経験した作業は手が覚えていて勝手に動く感じだった…
黒い画像が続きますが… モノクロ撮影ではないです。(笑)

前面
背面
ハンドルに皺が入るミスをした… ありの〜ままの〜姿見せるのよぉ🎵
トラ皺
背面サイド、牛さんの首や背中に見られるトラ皺部分を使用
上から
口元ひと手間の見付け&内部ファスナーポケット
小判底&パイピングの玉縁
丸手ハンドル
こう見たらピッチちっちぇ〜


そして、鞄にロゴを刻印せず。
内袋にロゴタグを縫い付けようと思ったけど "サンプルやし、もうええわ"と縫わなかった。

ハンドル根革とサイドラインデザインは、マネークリップ財布でもテーマとして使っているワインボトルをイメージしたライン。
平手ハンドルなら再現しやすいが持ち手部分が細くなり強度不足になるかと考えて止めた。

仕上がり後、思い付きでロゴを入れたボトルラインのチャームを製作し着けてみた。

こんなん
チェーンぴろ〜ん…
切る気が無かった、思い付きだから(笑)


ひとつ目のベースとしてサンプル製作終了。

総評として…
基礎を意識して仕立て現在のベストを尽くしたつもりである。
またこの先、違う革や違う方法で作ればどうなるか? 試してみたい。

過去のノートと経験記憶と現在の考えで使えるカタチには完成。
お疲れ、オレ…


最後に

ミシン鞄教室に通っていた当時考えたことはある。
もし、わたしが若ければ…鞄製作会社などに就職し、ミシンの扱いや鞄作りの経験を積む道もあるだろうと。

通った教室の工業用 腕ミシン
今見ると懐かしい…マダム達に逢いたくなってきた
"先生、目打ちで打った点が見えへん"、"先生、針上がってこーへん "、"先生、糸切れた…"
ミシンの扱いはずっと下手だった

中古の腕ミシンと平ミシンを買って練習しまくり製作活動してみようか…
なども考えたが、いつ"スペインへ戻りたい、海外へ行きたい!!"と思い出すかわからなかった自分が居た。

別の道… 興味を持っていた"手縫いの革小物づくり"へと進んだ。
どこでも縫える… スーツケースひとつあれば必要な道具は入るだろう…
漉き機は要るけど。(笑)

ゼロから自分で考え仕立てる手縫い革小物…
始めた当初タンニン鞣し革を使い、裏張り、切り目磨き、蜜蝋仕上げetc。
クロム革と布でポイントを習い作るミシン縫い鞄とは全然違った。

手縫いでの革小物作りを独学で続け、理想とは違うゴミの山も築き、遠回りしながらも"自分で考え創造する"ことをテーマに、臨機応変に考え創るようになった。かなり時間も掛かったけど…

いつもの小物とは異なる立体形成 "初めての手縫い革鞄作り"終了。
二刀流には遠いけど、1.1刀流ぐらいになった気がする。

ではまた、¡Hasta luego!

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