毎日読書メモ(25)『狂うひと ──「死の棘」の妻・島尾ミホ』(梯久美子)
梯久美子『狂うひと ──「死の棘」の妻・島尾ミホ』(新潮社、現在新潮文庫)の感想。日記に残っていた読書メモの再掲なので、感想として中途半端だが、大変な充実感であった。
先に島尾敏雄『死の棘(新潮文庫)を読了するのにかなりの体力がいったよ。
...帰宅して、今日中に図書館に返却しなくてはならない梯久美子『狂うひと』をひたすら読む。島尾敏雄『死の棘』に描かれた夫婦、そして愛人の姿はどこまでがリアルでどこまでが虚構だったのか? 敏雄が亡くなり、その後の20年でこうだという結論を作ったミホが、構築した虚構を、長男島尾伸三の許可を得て暴いていく作者梯久美子の視点が、まるでミステリーの謎解きのようで手に汗を握る。図書館の順番待ち半年以上、そして取りかかって返却期限ギリギリまでかかった大作、それだけのことはありました。かつて、『家宅の人』読まずに、沢木耕太郎『檀』を読んだときの隔靴掻痒感を解消できた、『死の棘』読了後の充実した読書でした。
(2018年6月)