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村上春樹『羊をめぐる冒険』(毎日読書メモ(421))

村上春樹の『羊をめぐる冒険』(講談社→講談社文庫)、村上春樹作品の中でも一番再読回数の多い作品かもしれない。1983年、『1973年のピンボール』が講談社文庫に入った時に村上春樹の小説と電撃的に出会い、慌てて『風の歌を聴け』を読み、当時まだ文庫化されていなかった『羊をめぐる冒険』を単行本で買い、上下巻に分かれて刊行された文庫本もその後買って、図書館みたいな透明シールでカバーして、それを持ち歩いて読んだ。北海道に行く時には必携。移動しながら読む文学。

2016年に東京のちひろ美術館で「村上春樹とイラストレーター」という展覧会をやった時、村上春樹の本を持って行って受付で提示すると入館料割引、というサービスをやっていったので、その時も迷わず『羊をめぐる冒険』を持って行った。その時の感想文。

『羊をめぐる冒険・上』:ちひろ美術館の企画展「村上春樹とイラストレーター」展に、村上さんの著書持って行くと入場料100円引き、ということで同行の友とした本。久々の再読。これまでに10回以上読んでいるが(たぶん村上さんの本の中でも最多)、そのたびに新たな発見がある。1978年の東京、そして札幌。今回は先生の家の訪問シーンが妙に印象的だった。(2016年7月の読書メモ)

『羊をめぐる冒険・下』:そして、「村上春樹とイラストレーター」展で、表紙の原画を見る。背中に星のある羊がなまななしく迫る。不吉なカーブの向こう、山の上の別荘で、僕は、ストック食品で料理を作りながら(そしてこのとき、既に主人公は走り始めているのだ!)、耳の彼女と別れ、羊男と対峙し、鼠と再会する。哀しい別れ。封印される戦後。大きな喪失を味わった羊博士に、多くのものを喪った僕は慰めを与えられるか。今回の再読でも多くの気づきがあって、幸せだった。(2016年6月の読書メモ)


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