毎日読書メモ(26)『火星に住むつもりかい?』(伊坂幸太郎)
伊坂幸太郎は、いつ読んでもはらはらして、でも最後で必ず落としどころがあって、じわっと泣いて終わる。カタルシス小説。カタルシスへの道のりがちょっと性急で疲れることがあるけれど。引っ張りすぎ...では?
伊坂幸太郎『火星に住むつもりかい?』(光文社、現在は光文社文庫)。
図書館半年待ちだったのに、大変暗い話で、なかなか読み進められないうちに年を越してしまった。平和警察が密告と冤罪で犯罪者をでっちあげ、公開処刑することで、平和を維持するディストピア。この閉塞状況から逃げるには、火星にでも住むしかない? そんな中、磁石を駆使する正義のヒーローが現れる。そこからストーリー展開が気になって一気読み。でも、本当に世界を一時的に救ったのは、そのヒーローではなかった! 読みが深すぎる、天才は、どうやって世の中を変革するのか? 例によって、最後10ページでオチを付ける荒業に感嘆。
(2016年1月)