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毎日読書メモ(34)『あの家に暮らす四人の女』(三浦しをん)

三浦しをん『あの家に暮らす四人の女』(中央公論新社、現在は中公文庫)。谷崎潤一郎『細雪』へのオマージュ。とはいえ、この小説の四人は『細雪』とは違ってしまいではないけれど。


古い洋館に住む鶴代、佐知母子のところに、転がり込んできた雪乃と多恵美、まるで『細雪』の鶴子、幸子、雪子、妙子みたいだね、と笑いながらめいめいに暮らす日常。外部からの刺激。佐知の父親はどうしたのか、階段の下の開かずの間に隠されていた木乃伊の謎。封印が解かれ、4人それぞれに新たな展望が開かれる。日常の中にドラマがある。メタフィクションっぽいところは谷崎とは全然違うけど、静かな滅びの予感と静かな展望がない交ぜになって、不思議な調和がとれている。三浦しをんらしい、微妙なバランス感覚が描かれた秀作。
(2016年1月)

四姉妹ものってなんで愉しいのか:藤谷治『睦家四姉妹図』(筑摩書房)もよろしければご覧くださいませ。

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