井上荒野『ママがやった』(文藝春秋、のち文春文庫)。
ダメ男拓人をめぐる、家族と彼女たちの物語。井上荒野初読みだった『潤一』を思い出させる、ダメダメなのに放っておけない男、その恋愛、結婚、子どもたちや孫たち。年上の妻は何故、爛漫とやってしまったのか。家族たちはそれをどのように糊塗しようとするのか。最初と最後に現在を置いて、間に散りばめられた過去の中から、さもありなん、という結末のおとしどころが浮かび上がってくる。
(2016年5月)
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