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毎日読書メモ(72)『主婦と恋愛』(藤野千夜)

藤野千夜って、今は何をしているんだろう、とWikipediaの情報が更新されていないので思ってしまったが、調べてみたらちゃんと小説書いてるよ。昨年末に刊行した『じい散歩』(双葉社)も気になる! この『主婦と恋愛』は近所の図書館で、ちょっと視線がいく高さの棚に差してあるので、今でも見かけては旧友に会ったような気持になる。でも小学館の単行本で読んで、その後小学館文庫にもなったが、版元品切れになっているようだ。

往復の電車で藤野千夜『主婦と恋愛』(小学館)を読む。新聞の書評欄に作者インタビューが出ていてなんとなく気になったので図書館でリクエストした。4年前(って2006年に書いているので、2002年のことね)、日韓共催ワールドカップの時期の夫婦と、ワールドカップがきっかけで知り合った女の子と男性の、何かありそうでなさそうな、交流の物語。人によっては読んでもso what?と問いたくなるであろう、もどかしく、何が言いたいかわからないような、要するに子どものない専業主婦が暇で脳内で妄想構築しちゃってるだけじゃん、みたいな、そういう感じだけれど、人間関係の微妙なもどかしさが、手に取るようにわかって、面白かった。あとはたまたまワールドカップの時期に読んだので、軽いシンパシーが。とはいえ、4年前のことなんて結構忘れているよな。日本って決勝リーグでどこに負けたんだったっけ? 何しろ中村俊輔が代表落ちしたのもすっかり忘れていたくらいで、ほんと、スポーツに関してはわたしの記憶すらすごく投げやり。でも、この初夏の空気と、4年に1度の世界的イベントで高揚した街の雰囲気とかが懐かしく思い出され、そんな中、こんな風に気持ちをざわめかしているのもお祭りかな、みたいな、読後感のいい小説だった。ちなみに、藤野千夜は、芥川賞受賞作「夏の約束」すら読んでなくて、これが初読み。また機会があったら読もうっと。(2006年7月)


#読書 #読書感想文 #藤野千夜 #主婦と恋愛 #小学館 #ワールドカップ

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